カンボジア国土編(国、風土)
1 国土
⑴ 国名 カンボジア王国
*クメール語で「カンプチア」、中国語の漢字表記で「柬埔寨」(広東語発音でGan-pou-chia)日本では「カンボジア」と表記・発音。カンプチアは、建国神話にあるインドのバラモン僧(カブジャ)が東南部海岸に来航し、土着の首長との婚姻の物語を国の発祥とする説がある。20世紀前半までの中国およびベトナムでは高棉(中国語: Gāo-mián、ベトナム語: Cao Miên)とも呼ばれた。19世紀後半からフランスの保護領となり、1953年独立までその統治下にあった。
⑵ 国旗 トンチェイ・チェット・カンプチア(カンボジア国旗)
*数度か独立後に国旗デザインの変更があるが、いずれもアンコールワットを意匠の中心にしており、現在の国旗は、1992年3月から国際連合カンボジア暫定統治機構による統治が開始され、1993年5月には国際連合の監視下で民主選挙が実施された後に現在の国旗、国章が制定された。
⑶ 面積 18万1035㎢ (日本の国土の1/2弱)
⑷ 人口 1560万人 (2019年国勢調査)
⑸ 首都 プノンペン
⑹ 民族
◇クメール族(モン・クメール語族)国民の9割弱を占める。
◇モンクメール語族の先住民の古クメール族(高地クメー ル族ーモン・クメール族)がカンボジア中央低地帯の周辺の丘陵。高原地帯に散在し、東北部のモンドリキリ州やラタナキリ州では居住者のうち古クメール族が多数派を占めており、かつては狩猟や焼き畑を主としていた。先住民の住居はクメール族が主として高床式住居に住むのに対して掘っ建て式の住居である。また、古クメール族のなかには、鉄の掘り出しに特化したクイ族や野生象のを飼いならす種族を特技とする種族がいる。
◇華人(19-20世紀に渡航した中国人:華僑の子孫)、ベトナム人が併せて1割ほど。都市部に居住する者が多い。農村部の万屋や市場の売店に従事する者に華人の血が入っているものが多い。
◇ラオ人や中国国民党の村:東北部のラタナキリ州にはラオ族(ラオスの主要民族)や中国国民党軍が中国の内戦を逃れて住み着いた村がある(タイにも北部に同様の集落や街がある)。ラオ族はカンボジア北部のメコン水系に集落が散在する。
◇国外のクメール族 タイ領東北部に約55万人、ベトナム南部約50万人、ラオスの南部に数千人が居住している。また、植民地、内戦時代を経てフランスや米国にクメール系が少数だが居住している。なかでもベトナムに居住するクメール民族をカンボジアのクメール族はカンプチア・クロムと呼び、今でも国境超えた交流が強く、ベトナム人(キン族)と同様に密入出国問題でしばしば話題になる。
◇残りの主要民族で話題になるのがチャム族(マラヤ・ポリネシア語族でベトナムの中南部海岸地方に栄えた貿易都市国家連合のチャム王国の末裔)。彼らの際立った特徴はそのほとんどがイスラム教徒である。多くは貿易や漁業に従事し、トンレサップ湖ーバサック川水系やメコン水系、タイ湾の海岸線に集落が散在する。彼らの集落はイスラム教寺院が外部の者にとっては目印になる。ASEAN諸国間での交流でビザなしが実現する以前、唯一カンボジア人がビザなしで渡航すること可能な国はマレーシアであった。今でもチャム族の婚姻等でマレーシアとの関係が近隣のクメール族より深い。また近年のイスラム復興の動きを受けて、クメール族のクロマ―(日常的な手ぬぐいの役割)に対しチャム族のスカーフであったが眼だけ出すブルカ姿を多く見るようになった。
◇なお少数日系カンボジア人がいる。が、ポルポト時代を経て生き残った日系カンボジア人はカンボジア人妻であった女性一人であった。
日系カンボジア人では「猫ひろし」氏が日本では知られているが、彼はニ重国籍者(日本国籍を持ちながらカンボジア国籍を持つ者。)である。カンボジア国内に居住地があって申請すれば、誰でも取得できるが実際の取得には多額の金額が非公式に請求されるのが常である。相当の有力者のバックになければ、(いわゆるぶらかしで)永久に待たされる。日本では同氏は時に話題になるが、現地のカンボジア人で彼がカンボジアを代表とするマラソン選手と思うカンボジア人はほとんどいない。また、在カンボジア日本人でも冷笑か、話題にもしない者も多い。
⑺ 言語、文字
共通語はクメール語である(公立初等教育の国語)。文字はクメール文字(古代インド伝来のサンスクリット文字を基にした表意文字で日本語同様に分かち書きをしない。文法的には主語+動詞+目的語である、この点、インドから東の諸国、カンボジアまで同じである)。先住民の古クメール族は文字を持たない。
クメール文字: ព្រះរាជាណាចក្រកម្ពុជា(カンボジア王国)
クメール語には古代インドの言語サンスクリット語を語源と日本語と同じ意味の言葉が残っている。例:夜叉(ヤシャ)、地獄(ナーラク)など。
⑻ 宗教
仏教(上座部仏教、南伝仏教ー僧侶と在家に明確な区別があり、在家が僧侶の修業を支える。)ー主要なクメール族や華人の大半。イスラム教ーチャム族。仏教(北伝仏教、大乗仏教)ーベトナム人ー、他に少数のキリスト教徒、新興宗教。アミニズム(精霊信仰)ー古クメール族等の区別が見られる。