コロナ禍の2年間、希望的な観測気球を何度もあげているカンボジア政府観光省の観測気球だが、その都度、希望は絶望に変わっている。観光省は、王立政府が3月に入国規則を大幅に緩和した後、今年は最大70万人の海外からの訪問者がカンボジアを訪れると予想しているという。例の通りの希望的観測気球である。
観光大臣によると、「今年の最初の3か月で昨年比で、カンボジアでは151,680人の外国人観光客が記録され、昨年の同時期に比べて114%増加しました」述べ、「そのうち、86,588人が飛行機でカンボジアに到着し、158パーセント増加したと彼は指摘した。陸路で63,048、69%増加。水路で2,044人(2021年の第1四半期に水路で到着した観光客はいません)」という。
*水路はメコン川のベトナムからの観光客である。
大臣は、ASEAN(タイ、ベトナム、インドネシア)、アジア(中国、韓国、日本)、ヨーロッパ(フランス、英国)、アメリカ(米国)からの海外からの訪問者のほとんどであるという。
国内観光については、2022年1月から3月にかけて約280万人の訪問者が登録され、前年比48%増加しましたという。これは、急増のようだが、昨年4月にプノンペンがロックダウンしたことからも驚くほどの増加ではない。
250万人が国内観光客で42%増加し、約30万人が海外からの訪問者で131%増加したーこの数値計算の上記の報道との数値の違いの根拠が理解不能!ー。
2022年の通年で1,000万人を超える国内観光客がこの国を旅行すると推定されているというが、まさに希望的観測で、国内経済の疲弊に加え、ガソリン価格の急騰、諸物価の値上がりも予想され、国内観光産業がコロナ禍で壊滅的な打撃を受け、それをコロナ以前に戻すには魅力的な観光施策と観光産業の生の現実に目を向けることで、最も早く外国人観光客の受け入れを決めたタイですら、綱渡りのような観光復興を続けている。
この種の観光省や大臣の威勢の良い観測気球だが、WHOはコロナ感染が収まったというのは早計で、ロシアのウクライナ侵攻のツケがロシア国内だけでなく、諸外国の経済にも打撃を与えることは必定で、なかでも航空・観光産業は最も打撃を受け、海外へ観光なんていうのはお金持ちの道楽だけ、といって過言ではない。
このような希望的観測を打ち上げる心理が解らない。国内観光産業では、シェムリアップの多くのホテルが休廃業に直面している姿をどう考えているのだろうか。
掲載写真:イメージ(いったいいつの撮影?) Khmer Times