先日、中国映画が描く「カンボジアがオンライン詐欺・人身売買の拠点」という内容に上映禁止を申し入れると文化省は述べていたが、今度は国連の報告書に対して、「証拠がない」のに報告書を出したと内務省が言い出した。その「証拠」だが、記事を掲載するKhmer Timesでさえ、その意味や内容については触れていないし、この記事の同日にカンボジア拠点の人身売買、オンライン詐欺やカンボジア発のマネーロンダリングに関する記事が掲載されている。
カンボジア政府は、カンボジアがサイバー詐欺の中心地であるとする主張に対する証拠を示さない国連薬物犯罪事務所(UNODC)の報告書に驚きを表明したという。
同報告書は、シアヌークビルでのカジノやその他の営利企業の急増が、カンボジアの女性や少女の間での性的人身売買や強制労働の増加につながっていると主張している。
内務省の国務長官で国家人身取引対策委員会(NCCT)の副委員長:チョウ・ブン・エン氏は10月5日、「UNODCとその研究チームが証拠なしに報告書をまとめるとは予想していなかった。そしてカンボジアを何度も非難すべきではない。」、「UNODCとして、人身売買やオンライン詐欺に苦しんでいる国々に明確な勧告を出し、各国が自国の地域で人身売買との戦いで団結できるようにすべきだ」、「カンボジアは人身売買を好んでいません。カンボジア当局は人身売買に対処する新たな方法を見つけようとしています。これはカンボジア国民だけでなく世界中の人々にも関係しています」と彼女は述べている。そして「政府は内務省を通じて、不法移民と密輸品、資材、薬物、その他の品目の輸出入に関する法律を執行している。したがって、強化策は正しく、不可欠な戦略である」と付け加えている。
同氏は、「カンボジアと近隣諸国との国境が長いため、国境職員が法執行の無視につながる可能性のある行動を起こしやすい」と身内の恥を指摘したが、その発言は語るに落ちた、という感がある。
チョウ・ブン・エン氏は、国連薬物犯罪事務所(UNODC)の「報告書を証拠も無しに」作成と非難しているが、国内メディアの報道を見る限り、その反論に具体性が見当たらないし、また先ずもって「証拠」とはなにか、という定義にすら触れてない。中国や国連の報告もカンボジアでのオンラン詐欺、人身売買、麻薬などの摘発数(カンボジア内務省の発表数値)を捏造したり、改竄しているとは証拠なるものの指摘もない。先に文化省は、中国にカンボジアが詐欺拠点に映画に上映禁止を申し入れるとあったが、その結果どうなったか、の報道は未だ出ていない。
*下の記事をご参照ください。
掲載写真:イメージ オンライン詐欺拠点の摘発 Khmer Times