2004年から2021年までの17年間で、世界遺産:アンコール遺跡群の保全・管理を任務とする機関であるアプサラ機構(ANA)は、国際的な観光客を迎えるため環境の美しさを高め、国内および歴史的な世界遺産の環境に配慮した保全事業に取り組んできた。
また、2020年、21年はコロナ禍で国内外の観光客が激減する中、禍を転じて福とするかのようにバンテアイクディ寺院遺跡まえの王の沐浴地という名称もあるスラスランの中央祠堂を補修し聖地の見え隠れしていた崩壊姿から見事に復元し、さらに遺跡群内の観光コースから従来外れていた2つの寺院遺跡の修復を終えている。さらにアンコールトムの西門修復にも取り組んでいる。派手なアドバルーン記事を上げて、その後立ち消えする観光省の姿勢とは異なり、対照的に「ゆっくりだが着実に国際観光客を迎える準備」を進めていた。
なかでもアンコール遺跡群の魅力は深い森なかに散在する壮大な古代文明の遺跡群の展開である。これもまた放置された森ではなく保全として森を守って来たからである。
アプサラ機構が実質的にアンコール遺跡群観光を支え、動かしているといって過言ではない。カンボジア政府の副首相がアプサラ機構の代表を務めるように、実はアンコール遺跡群観光はアプサラの意向なくして外国人観光客を向かいれることは難しい。外国人観光客への再開に何等反応を示さないこの1年半のアプサラ機構であったが道路の整備から始まって遺跡の修繕、森の再生など目立たないが、着実に準備を進めてきたのだ。
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*この写真が世界遺産:アンコール遺跡群の魅力を一言で語る。深い森を貫く整備された道。森に鎮まる古代寺院遺跡、それはアプサラ機構の主導する事業によって守られてきた。
同機構の報道官:Long Kosal氏は、9月19日、植えられた200万本以上の樹木のうち、なかには高級な苗木があったといい、アンコール地域には十分な水資源があり、雨季ごとに植えられたため、比較的少数の樹木が枯れただけで済んだと述べている。植樹の一部は、観光客の安全を確保し、公園の見栄えを良くするために撤去された枯れ木を取り替えるためであると付け加えた。
同氏はまた、「アンコール考古学公園がユネスコによって世界遺産に認定され、すべての人類にとって優れた文化的成果として指定されている。寺院やモニュメントに加えて、自然環境と森林がこの地域の魅力の重要な部分である」と述べている。
掲載写真:Phnom Penh Post