<2月20日市中感染事件>関連のKhmer Times の報道は混迷中、背景は政府・保健省の混迷か

Khmer Timesの政治や政府・官庁など関連報道記事は政府の公式報道

9日午前、カンボジア政府・保健省の公式発表は地元メディアのKhmer Timesが英語版では一気に引き受けている感があるが、どういう訳か保健省の日課の発表が掲載記事の裏付けになっていない。

Khmer Timesの英語版といえば、「政治や政府・官庁などの関連報道記事は政府の公式報道」というのがカンボジアでは常識である。海外からもそう受け止められている。

9日午前、「2021年3月9日火曜日午前7時現在のASEANの状況」(これはアセアン各国の新型コロナ状況をまとめたものである)と題されたKhmer Times の記事はおかしな、明らか間違い記事である。それは、カンボジアの項の部分に「(2021年3月9日火曜日午前7時現在)カンボジアでは、新しいコロナウイルス(COVID-19)の9日の新しい陽性症例が+24件ありました。集計は1,011です。死者はいません。合計517で回復」とある。

 異例!保健省は日課の新規感染者数や内訳、累計総数の発表すらない

だが、昨日の8日同時刻時点で「保健省は8日朝、<2月20日市中感染事件>関連で新規感染者24人を確認した。新規感染者の国籍別内訳は、国籍別では総数24人のうち、中国人12人、カンボジア人7人、ベトナム人5人である。また場所別感染者ではプノンペン都12人(カンボジア人4人、中国人3人、ベトナム人5人)、シハヌークビル州7人(中国人7人)、さらにカンダル、コンポンチャム、コンポントム各州で計5人(中国人2人、カンボジア人3人)の感染者を確認している。プノンペン都ではベトナム人、カンボジア人が中国人の数を初めて上回ったが、カンボジア全体では依然として中国人の数が多い。これで同事件関連では感染者累計501人カンボジアの感染累計総数は1006人となった。」である。

明らかに9日午前の記事「新しい陽性症例が+24件」が正しければ「累計総数は1030人になる。」のに記事では「集計は1,011です」とある。こうした明確な数字の間違いだけではなく<2月20日市中感染事件>関連の累計人数、その内訳である場所別、国籍別さえ書かれていない。そして何よりもオカシイのは、「保健省」の文字すらない記事であった。実にいい加減な記事内容で到底信用できない。個々別々の場所での新型コロナ感染記事を伝えられても、肝心の今日全体の感染状況が全く解らないのである。他のメディアは端から公式情報が得られていない。依然昨日以来、Khmer Timesの新型コロナウイルスの報道が混迷中で同社の報道記事自体の精査が必要となっている。同社の報道の混迷、間違いはどうやら保健省自体の混乱が反映しているように見える。

昨日以来の「Khmer Times 」の報道は混迷が続いている

昨日(8日)のKhmer Timesの報道の混乱は、フンセン首相の指示と保健省の対応、特に意思疎通のちぐはぐが透けて見えた。

という具合であった。

昨晩、衝撃的な記事が掲載された

そして8日夜のKhmer Times掲載の「カンボジア・フンセン首相は、2月20日市中感染事件について悲惨な見方を示す。今夜(8日)の午後9時までにさらに50件近くの感染者が発見された。(邦訳)」という衝撃的な題名の記事が出た。

その内容は、「フンセン首相は、COVID-19の深刻な蔓延に直面して、すべての集会を直ちに中断しなければならないと述べました。リクエストは、2021年3月8日の夜に特別で緊急のボイスメールメッセージを介して行われました。さらに同首相は今夜の午後9時の時点で、さらに50近くのCOVD-19陽性症例が見つかりました。新しいケースは、プノンペン、シアヌークビル、カンダル、プレイベンにあります。サンプルはまだマシンによってチェックされているため、この結果はまだ最終的なものではありません。感染者の中には、警察官、公務員、芸術家がいます。」と述べている。そこで「すべての不必要な集会の停止」を訴えた。

また、同首相「省庁、州の機関、および立法府に、機関での現場作業を一時的に停止し、少数の労働者だけを残し、可能な場合は自宅で作業するように求める。」「公的機関は、7日間活動を停止するか、労働者の数を(90%)減らす。民間機関は労働者の数を減らし、在宅勤務を提案する。外出するときはマスクを着用してください。」という命令を出した、とある。

今日の記事も上記の記事の繰り返し

そして9日の今日、Khmer Timesは「集会の中断:首相はC-19の上昇により集会の即時禁止を命じる(邦訳)」という題で昨晩と全く同じ記事を上段に掲載、さらに下段に「一方、保健当局は昨日、200人近くのCOVID-19患者を悪名高いPrekPnov検疫センターからプノンペンのCOVID-19指定グレートデュークホテルに移送しました。(邦訳)」という記事を続ける。そこでは、グレートデュークホテルに許可なく病院に「改装」された500床のプノンペン検疫センターから患者を運ぶのに10台の救急車が約12時間かかったという。そしてすべての患者をホテルに移送するために24時間体制で取り組んでいるとkhmer Timesに伝えている。だが、一方で保健当局よりKhmer Timesは「救急車は1回に約3〜4人の患者しか乗せられないため、患者の移送は簡単なプロセスではなく、すべての患者の移送に時間がかかる」と通知されたという。要は保健省もフンセン首相の怒りで混乱中ということであろう。

*掲載写真:「保健当局は昨日プノンペンのグレートデュークホテルで患者のデータをチェックする」キャプションの付いた写真 画像:Khmer Times より。

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