シハヌークビル郊外、知る人ぞ知るオートレスビーチ沿いのホテルが詐欺拠点
4月7日晩、日本の夜のニュースに久方のカンボジアに関する話題が報道された。悪いニュースである。中国マフィアの跋扈(ばっこ)する犯罪都市シハヌークビルに日本人オンライン詐欺集団の拠点があったと、日本ではフィリピンに次ぐ大きな話題となっているようだ。
ニュース冒頭の詐欺拠点のリゾートホテルは、シハヌークビル市の中心部から少し離れたオートレスビーチ、このビーチは比較的中国系やカンボジア人の宿泊者は少なく、欧米系や日本人が集まるビーチとして知られている。またホテルが、日本人客の多いホテルであったことも詐欺犯罪の隠れ蓑になったようだ。
日本で報道されるや、それが解禁となったかのように一斉にカンボジア国内メディアが8日になって伝え始めた。こうした、日本に関する大々的報道は、数年前のシェムリアップでの日本人2名によるタクシー強奪殺人事件以来の衝撃的な話題となってしまうだろう。シハヌークビルは中国マフィアの街とタカを喰っていた在カンボジア日本人に冷水を浴びせるような事件である。いずこでも犯罪組織が眼をつける場所は同じであることを物語っている。
ANNニュース 4月7日夜のニュース https://www.youtube.com/watch?v=YKPnbp5IbGo
カンボジアを拠点にしていた日本の特殊詐欺グループの男19人が現地当局に拘束され、日本の警視庁が4月6日、詐欺容疑で逮捕状を取ったことが捜査関係者への取材でわかったという。
日本大使館への通報が事件摘発のきっかけ
「有料サイトの未払い料金がある」と偽り、電子マネーを詐取する手口だった。警視庁は近く捜査員を現地に派遣して身柄の引き渡しを受け、日本に移送して逮捕する方針だ、という。捜査関係者によると、発端は1月中旬、「日本の詐欺グループがホテルを拠点にしている」との情報が現地の日本大使館に寄せられた、という。
大使館から連絡を受けた現地警察が同月下旬、首都プノンペンから約180キロ離れた同国南部プレアシハヌーク州のリゾートホテルを捜索し、日本人の男19人の身柄を確保したという。
19人は20~50歳代で、取り調べに「観光目的で入国した」などと説明したという。だが、借りていた客室のうち、事務所として使っていたとみられる客室からは、大量の携帯電話や複数のパソコンのほか、詐欺の手口が書かれたマニュアルなどが見つかっている。
警視庁が調べたところ、NTTドコモを装って日本の携帯電話にショートメールを送りつけ、メールに記載した番号に電話をかけてきた被害者に「有料サイトの未払い料金がある」とうそを言い、電子マネーを購入させる手口であったとのこと。
被害者がかけた電話番号と、カンボジア当局が押収した携帯電話のラベルに記載されていた番号が一致したという。
逮捕状の容疑は、1月下旬、東京都内の60歳代女性から約25万円相当の電子マネー「ビットキャッシュ」をだまし取った疑い。19人は現在、現地の警察施設内に収容されているとみられる。警視庁は今後、現地当局にも協力を求めながら、詐欺グループの実態解明を進めという。
なお、カンボジア現地当局に拘束された日本人容疑者19人は、既にプノンペンの警察施設に収容されており、強制送還→逮捕という道筋になるであろう。同事件については、日本大使館とカンボジア当局の密接な協力と緘口令が敷かれていた模様である。
日本大使館への通報が事件摘発のきっかけ、というのが、在カンボジア日本人の多くにとって、この事件の救いである。
*上記の記事は読売新聞、Khmer Times、ANNニュースを参照しています。
なお、日本では一人暮らしや夫婦だけの高齢世帯が多く、しばしば怪しい詐欺電話やメール、メッセージが届き、コンピューターに疎い人でも、怪しい電話が多く、電話番号を確認し知らない電話番号に出ないようにしている人が多いという。90年代の電話詐欺といえば、中国に拠点を置く詐欺だったが、取り締まりが厳しくなりASEAN各国の法的にゆるい国に次々と拠点を移している。
掲載写真:詐欺拠点のあったシハヌークビル市街地郊外のオートレスビーチの詐欺拠点のホテル 画像:Khmer Timrs