COVID-19ワクチン接種のためのカンボジア・アドホック委員会によると、2021年5月14日までに、カンボジア全土で合計2,040,255人がCOVID-19に対してのワクチンがすでに接種されている。
この数字は、ワクチン接種が計画されている1,000万人の20.40パーセントを達した報道は誇っている。そのうち、1,140,660人が完全にワクチン接種(2回目完了)されているか、すでに2回目のCOVID-19ワクチンを接種も始まっており、身近なカンボジア人にも接種完了者を見る。事実、ワクチンが進まないと日本人の仕事も商売も低迷が続くだけある。
筆者は率直に大したもんだ、と思う。中国製ワクチンについて、とやかく言う者があっても現実にコロナ禍に直面している現地の人々には、接種の進行は嬉しい。途上国故にとりのこされるのではないか、という不安を多くのカンボジア人は語っていたが、そうした不安は少なりなり、逆に日本は、大変ですね、と言われるのは忸怩たる想いがある。
混乱の日本と比べ、カンボジアでのワクチン接種は着実である
それにしても接種が始まるや日本は、大混乱の印象が強い。なかでも空気を接種した、生理食塩水を接種したというニュースや予約電話のパンク、富裕者の割り込みや自治体の首長や職員の地位利用ーどんな理由であろうとコソコソとは後ろめたいからであることは明白ーのニュース、などちょっとうんざりする、医師の粗製乱造と危機に際してその人間性が剥きだしになる結果のなのか。そしてニュースに「先進国で最低レバルの接種率、途上国国並み」と言うに及んで、その自惚れの裏返し(卑しさ)は恥ずかしい。
米国のワシントン・ポストやフランスのル・モンドなぞ、各国の高級紙に政府の無能さ、無策さが書かれるというのは心底うんざりでこれが誹謗・中傷でないから一層悔しい。突如動員された自衛隊の接種に元統合幕僚長ですら「無能」と批判している。日本の問題は要は、
・指揮系統の混乱、首相・厚労省・河野大臣からの指揮
・自治体任せでありながら、情報隠しーワクチン貯蔵、供給量、配布量隠しーである。これはあきらかに中央官庁の職員の士気低下が背景にあり、地方自体の職員の問題ではない。
ではカンボジアは、
カンボジア王立政府は、2021年4月から12月までの9か月間で、ワクチン接種プログラムに約20.59百万ドルに相当する83,625百万KHR以上を費やす計画を立てています。
9か月の間に、全国で合計200〜250の医療チームまたは2,000〜2,500の医療スタッフによって、月に少なくとも100万回分のワクチンが人々に投与されると予想されていると強調している。
カンボジアは、COVID-19に対して約1,000万人、つまり総人口の62%にワクチンを接種する予定であり、2022年の半分までに95%以上が接種されると予想されているという。
カンボジアの報道を読むにけしてサバを読んでいたり、誇大宣伝ではない。現に18歳以上の接種者予定1000万人、2022年の半ばまでに95%というのは、人口が約1560万人のカンボジアでは、接種計画として間違ってはいない。また、2022年半ばまでというのは、国の能力に合わせた見積でけして早くはない。日本は18歳以上にワクチンが2022年内に行き渡るか、おそらく至難のことである。これをカンボジアは「独裁国だから」「中国製だから」と言うと、ためにする意見である。英国のアストロゼネカの経緯をみても中国製のみ貶めることはできない。日本はカンボジアと違って、人口が多いからというのは理由にならない。人口に応じた行政能力が優れた国が先進国一般である、というのが世界的な常識である。「ゆっくりでも着実に」進むなら日本の多く人々は黙々と行動するだろう。
かつて日本は世界の識者から「国民は1流だが、政治は2流」と長く指摘されてきた。が、今はどうなのか。カンボジアの状況は日本を映す鏡でもある。