国境再開の日本提案交渉、タイ軍の強硬姿勢が国境再開が困難

日本はカンボジアとタイの国境再開を強く求めているが、タイの世論を背景としたタイ軍の姿勢から、国境交渉は困難になっている。

10日(水)にコ・コンで開催された一般国境委員会(GBC)会合において、カンボジアとタイは、7月に両国間の5日間にわたる武力衝突にエスカレートした国境紛争を緩和するための複数の措置に合意した。この措置には、重火器の撤去と、停戦合意を監視するためのASEAN監視団(AOT)の設置が含まれる。

この会合では、国境で​​の緊張が高まったため6月下旬から閉鎖されているカンボジアとタイの陸上国境検問所について両国間で初めて協議が行われた。

会談後の記者会見で、カンボジアのティー・セイハ国防相は、「日本は物流と経済上の懸念を理由にカンボジアとタイに陸上国境の再開を要請した」と述べた。

「会談では、この点での正常化の必要性が強調され、日本側は、重要な地域サプライチェーンの維持に必要な物資輸送のために国境検問所の再開の実現可能性を両国が検討するよう提案した」と付け加えている。

会談からわずか数時間後、日本外務省はGBC会談の結果を歓迎する声明を発表し、これは二国間の停戦合意を前進させる重要な一歩であると述べた。

「日本政府は、ASEAN議長国として停戦合意の進展に尽力してきたマレーシアを含め、今回の会合開催に関わったすべての関係者の外交努力に敬意を表する」と声明は述べている。

「日本政府は、両国間の健全な協力関係が地域の平和と安定にとって極めて重要であることに鑑み、両国が引き続き停戦合意を遵守し、カンボジアとタイ間の緊張が対話を通じて平和的に緩和されることを期待しています。この観点から、日本は関係国と連携しつつ、停戦合意の着実な実施と事態の緩和に向けて引き続き努力してまいります。」

また9日(火)には、タイに駐在する日本の投資家らがタイ王国政府(RTG)に対し、物資輸送のためカンボジアとの国境検問所を再開するよう要請した。

タイ国防副大臣代理でGBC会議の共同議長を務めるナタポン・ナクパニッチ将軍は水曜日、記者団に対し、「第三国」がチャンタブリー・トラート検問所の開放をタイに圧力をかけていることを認めている。

タイ軍の強硬姿勢はタイ国民の世論がータイ首相とカンボジア上院議長の電話会談をカンボジア側がその内容漏洩し、そのためタイ首相が解任されるという政変に転じたー強硬意見の高まりにある。

今回の国境紛争は当初は小競り合いだったが、この電話会談の情報漏洩に機に武力衝突に至った経緯があり、タイ国内での反カンボジア感情は当面、納まりそうもない。国境から20㌔も離れたコンビニにロケット弾が落ちるというカンボジア側の盲撃ちもある。

また、タイはメディアの活動が比較的自由で報道も早いが、カンボジア側は情報統制を敷いており、被害の詳細自身がほとんど伝わっていない。

掲載写真:Khmer Times

おすすめの記事