6月26日、日経新聞は「カンボジアの脱中国依存が好機 豊田通商などが投資」という見出しの記事を掲載した。
これはJETROが2023年末にまとめた「在カンボジア日系企業、景気減速が影響も、4割弱が事業拡大見込む
海外進出日系企業実態調査の結果分析」でのカンボジアの景況観と投資動向を踏まえた先を見るに敏な商社である豊田通商なりのカンボジアの経済環境を踏まえた投資であると窺える。
日経の記事は登録記事であるため、その内容の詳細は分からぬが、豊田商事の判断の根拠については、JETOROの地域・分析リポートから概ね理解できます。
そこでは、「ジェトロが2023年8月21日~9月20日に実施した「2023年度海外進出日系企業実態調査」の結果を基に、カンボジアに進出する日系企業(有効回答企業数122社、うち製造業42社、非製造業80社)の動向について解説する」とジ上記の見出しのリードを記述し、リポートの中では、「2023年の営業利益を「黒字」と見込む企業は43.9%で、「均衡」が26.2%、「赤字」が29.9%だった。中国、インド、ASEAN全体では、いずれも「黒字」を見込む企業の割合は前年調査時より低下したが、カンボジアでは前年の42.6%よりわずかに上昇した」と触れ、「2023年の営業利益見通しを前年比で「改善」と答えた企業は36.2%で、ASEANではラオス、インドネシアに次いで高い。2024年の見通しでは、52.3%が「改善」すると答えており、ASEANではカンボジアが首位となっている。下のようなグラフ図をあげています。このJETROのリポートで注目すべき点は次の小見出しの部分です。
「新政権下での投資環境改善など、将来に向けたビジネスチャンスに注目」とあります。
2023年の国内の最大のトピックスは、8月に在職38年のフン・セン首相が退任し、長男のフン・マネット氏が新首相に就任したことだ。新内閣では、閣僚などの重要ポストに若手が抜てきされており、政権の世代交代が進んだ。新政権では引き続き外資誘致を重要政策と位置付けており、ビジネス界からは若い政権による新しいかじ取りに期待する声が多い。実際、周辺国と比べて高い電気料金の引き下げなど、投資の障壁と捉えられている課題の一部は、既に対応策が施され始めた。また、進出日系企業実態調査で浮き彫りになった日系企業が捉えているリスクや課題については、日カンボジア官民合同会議や担当省庁との個別対話会などにより、個々に具体的な改善・解決策の協議が継続されている。
という判断に豊田商事はいち早く目を付けたものと思われます。
なかでも日経新聞が見出しとした「脱中国依存」はカンボジアに限らず、2023年から世界各国で顕著になった新たな動きです。
掲載写真:日経新聞 資料:JETOROの地域分析レポート