ベトナム出身のカンボジア人(カンプチア・クロム:カンボジア系ベトナム人)のためのクメール(カンボジアの主要言語)コースが1月25日にカンボジアのプレアシアヌク県で開かれた。
ベトナム総領事:ヴ・ゴック・リー氏は「この講座、ベトナム国籍の人がカンボジアの市民権(国籍)を取得するために必要な支援を提供し、カンボジアと二国間関係に積極的に貢献することを目的としている」と述べている。確かに外国に居住する自国民の権利を守り、福祉の増進を期するのがその国に派遣された領事の本来の仕事である。
大陸国家で他国と陸続きの国では国境とは人為的なものであることが実感できる。実際多くの国で国境を挟んで同一言語や文化を共有する人々が住んでいる。それ故に二重国籍を認める国が世界では多数派である。これはまた、それぞれの民族の歴史的経緯によるものである。
○○系人という常識、大陸国家なら実感だが島国では無理解が多い
カンボジアの主要民族(人口の9割近く)クメール人は、モン・クメール族に属しカンボジアを中心とする東南アジアの民族。カンボジアの総人口の約90パーセントを占めるほか、タイ東北部、ラオス南部、ベトナム南部などにも住む。身体的特徴では一般に、波状の頭髪や体毛の多さといった特徴が比較的多く見られるが、皮膚は比較的濃色である。ベトナムにクメール系ベトナム人170万人、タイにクメール系タイ人140万人、ラオスにクメール系ラオス人4000人が居住している。-Wikipedediaの「クメール人」記述より-
なお、カンボジアに接するベトナムのアンザン省やメコン川下流域には多くのクメール系ベトナム人の集落が点在し、今なおクメールが通じる集落が多い。彼等をカンボジア人は同胞意識も込めて「カンプチアクロム」と呼ぶ。
またタイ側では東北部のコラート高原にも奥のクメール系の集落がある。
コロナ以前、クメール系の国境通過はゆるゆるだった
コロナ禍以前、不法とはいえタイ、ベトナム国境越えは比較的簡単でクメール系ならどこの当局もお目こぼしの感があった。二重国籍は日本では政治的に問題とされるが、実際は日本国籍があるなら日本人であり、それ以上は問わないという運用が長年の慣行で、殊更問題とするなら民族差別(ヘイト)扇動となることは欧米では常識である。また、「民族」というものは学問的には厳密な定義が困難で(事実混血も進んでいる)、強いていうなら言語を共通とする19世紀以来の国民国家観から導きだされる概念である。また、多くの誤解があるが外国籍で日本に居住している者は税金の納税の義務があることも常識である。カンボジアの場合、外国企業には課せられるが、その点が曖昧なままであるに過ぎない。
クメール語講座はべオナム国家のクメール系ベトナム人への支援
同講座は毎週月曜日から金曜日までの3か月間続きます。このクラスは、12月30日にカンポット州で開かれた同様の講座とともに、シアヌークビル、カンポット、ケップ、ココン、カンポンスプー、タケオなど、ベトナム総領事館が担当する地域でのパイロットモデルとして位置付けられている。