8日、日本のNHKニュースでは「軍トップと会談 反発広がる」とカンボジア国内では触れられないフンセン首相の訪問へミャンマー国民から反発が広がっている、と報じている。軍トップという見出し自体、非合法な軍事クーデターで権力を握った軍事政権を日本としてはミャンマーを代表とする政権と認めていない故の表現である。
ましてや「カンボジアのフン・セン首相は7日、ミャンマーの首都ネピドーにある空港に到着しました。去年2月のクーデターのあと、外国の首脳がミャンマーを訪問するのは初めてです。」と、報じる。軍トップがこれまた合法を装ったタイの軍事政権への親和性から最初に訪問したが、そのタイでは国内に政権への反発が強くあからさまな支援は出来ず、さらにASEANは、ミャンマー軍が民主派に対する弾圧を続けていることなどを理由に首脳会議への軍トップの出席を認めていない。今年、議長国になったカンボジアはこの機にフンセン首相がミャンマーを訪れたが、これは残忍な弾圧を繰り返すミャンマー軍事政権にお墨付きを与えることと、ミャンマー国民から反発が広がった。ミャンマー国民からすればフンセン首相をASEANの代表と見てはいないし、ASEANの特使でもないから当然のことである。
ASEAN諸国は静観、ミャンマーでは国内各地で抗議デモ
*ニュース動画 Al Jazeera English / YouTube
これはフンセン外交に反対はしないが支持もしないというASEAN諸国のお手並み拝見という姿勢であるし、ミャンマー国内からは軍に抵抗する市民団体が「フン・セン首相が単独で行動することは軍に正当性を与え、ミャンマー国民にさらなる被害をもたらす」と訴える声明を出したり、各地で抗議デモが起こり、現地メディアによると、このうち北西部のザガイン管区では「私たちにフン・セン氏は必要ない」と書かれた横断幕を掲げた人たちが行進したり、フン・セン氏の写真に火をつけたりして抗議したということをNHKは伝えている。カンボジア国内のメディア報道はともあれ、フンセン外交は当初から困難が予想されていた。
掲載写真:軍トップと会談するフンセン首相 画像:NHKニュース