遅すぎた原因究明、労働現場の劣悪さは誰の眼に明らかなのに
カンボジアの工場での労働者たちの大量失神の現象を研究している政府のワーキンググループは、このほど工場環境で発生しがちなこれらの事件の主な原因を特定した、という。あまりにも遅かりしの感がある。
この同じで職場で起こる失神減少は地域の工場は違っても毎年の如く起きていた問題で10年以上になる。誰もが思う過酷な労働環境が政府の調査によってようやく原因が公認された。今年のだけでも、少なくとも3つの工場で同様の失神事件が発生しいる。
カンボジアが途上国であることは、単にGDPの問題ではなく、毎年どこかで起こる工場大量失神事故とライスワイン(自家製どぶろく)の中毒死であろう。
今回の調査結果は、関係者の参加を得て、プノンペンの国家社会保障基金(NSSF)での会議中に12月27日に発表されたという。
労働職業訓練省の顧問、作業部会長:Pok Vantha氏は、今年、合計38人の労働者が失神したと述べた。彼は、これらの事件は通常、1人か2人の労働者が失神し、残りが連鎖的に失神し始めることを調査した。
「失神の科学的説明は、物理学、生物学、心理学の側面に触れて、多種多様ですが、これらの事件の最も一般的な原因は、化学物質の煙、劣悪な労働条件、過度の残業です」と彼は言いました。
カンボジア労働連盟アス・ソーン会長は12月28日、地元メディアに、毎年1,000人から1,500人の労働者が失神していると語ったが、昨年の数字は急激に落ち込んだ。これはコロナ禍による工場の操業停止であろう。
過密な集約労働、福利・厚生を欠いた労働者の扱い、雇用主の無知と儲け主義
「雇用主の過失も見られます。彼らは従業員に、ドアや窓が閉まっていて換気がほとんどない大きな金属製の箱に相当する作業をしているため、非常に暑くなります。その問題に加えて、工場はしばしば化学物質を不適切に使用して長引く煙を引き起こします」と同氏は述べた。「職場の安全対策を順守していない工場に対して同省が措置を講じることを期待しており、この事件が発生した場合は常に工場の状態の検査を実施する必要がある」と述べた。当然の主張であり、日本なら、明治、大正期の工場環境とも言うべきものである。安価な労働力を求めるということは、人間そのもの安物に扱うというのが、その実態である。海外に出稼ぎしてもそこで食いものになる労働者が跡を絶たない。これは日本の技能研修生制度にも言える。留学という名の1年で2割がバックれる日本語学校だって、悪質なぼったくり学校だってある。
カンボジアの衣料品製造業者協会(GMAC):副事務総長であるKaing Monikaは、特定された7つの要因の中で、最も一般的なのは生物学的または環境的理由で1人が失神する心理的要因である、と訳の解かぬ理由を挙げているが、要はきちんと休憩を取らず喚起の悪い工場内で多数の労働者を集約的な仕事をさせている現実である。同氏はまた、工場労働者の多くは定期的に食事をとらず、食事と栄養について十分な知識や理解がなく、全体的な健康状態が悪化し、最終的には多くの急性の健康問題を引き起こしている述べているが、その改善はあなたたちの義務でしょうと他人事の話しぶりに突っ込みを入れたくなる。労働者のレベルの問題に責任転嫁しているが、労働者の生産性向上には福利厚生が欠かせないとは20世紀初頭からの常識である。
毎年の工場での大量失神発生は、工場への法的措置で防がなければ国家の恥となる問題である。長年の放置は許されない問題である
掲載写真:毎年の恒例のような工場労働者の大量失神 画像:Phnom Penh Post