遂に「チャイナプロジェクト」に警察の強制捜査が入る。捜索時に銃撃戦

8月末から悪名ー人身売買、強制労働、監禁等ーの高いシハヌーク市のオチアテルビーチ区にあるチャイナプロジェクト(中国人はChina Cityと呼ぶ)のビルに警察の強制捜査が入った。

11日夜の午後8時頃。プレアシアヌーク州憲兵隊長、地方警察、プレアシアヌーク州検察庁の検察官は、重武装の憲兵隊と警察官からなる強制捜査を主導し、捜査に参加した。

まさに中国マフィアの巣窟、捜査時に銃撃戦の報道

押収された銃器

憲兵隊長:SaoSokha将軍から直接命令を受けたプレアシアヌーク州憲兵隊長:Brig General Heng Bunthyは、Khmer Timesによる一連の報道を受けて、オチアテルビーチビーチ区でのチャイナプロジェクトの一連の犯罪活動の捜査を進め、オンラインギャンブル、暗号通貨、フィッシング、その他のコンピューター犯罪(これには、恐喝、搾取、性行為やその他の違法行為のための人身売買が含まれている)の実態を掴んでいたようである。

シハヌークビル 中国人犯罪者。だが、捕まるのはマフィアの下っ端だけである。オンラインカジノ経営。

プレアシハヌーク州警察によれば、捜索時に犯罪者たちは、警察に最大6発の銃弾を発射したと報告されたというが、死傷者は報告はない。

この俗名:China Cityと呼ばれ、地元警察さえ入れないビルはカンボジア政府内務省から強い圧力を受けての捜索で憲兵隊長:SaoSokha将軍が直接指示をプレアシアヌーク州憲兵隊長にする形で行われた。要はシハヌークビル市の警察組織自体が中国マフィアと癒着した腐敗警察官が多く、そのために政府・内務所直結の憲兵隊組織を使って行ったということである。

当局は同プロジェクトの首謀者とその共犯者を捜索し続けており、特に武器と弾薬を供給した者を探しています。容疑者と押収品は、さらなる調査のためにシアヌークビル州憲兵隊司令部に運ばれたという。

シハヌークビル チャイナプロジェクトのビルで逮捕された中国人たち。

マフィア幹部は8月末報道でとっくに逃亡か

上掲の本サイトの2つの記事が報道された時点で、既に逃亡の動きが見られるようにチャイナプロジェクトを動かしていたマフィア組織の上部構成員や幹部はいち早く逃亡し、身を隠した形跡がある地元警察組織にまで食い込んでいる中国マフィアだから、早い段階で一連の捜査の情報はマフィアに流れていたはずである。

事実、昨晩の捜索で憲兵隊に逮捕された中国人15人で中国公安部の情報によれば女性一人も含まれているという。また、監禁犠牲者2名を解放したという。だが、ビルの大きさの割に少ない人数の逮捕者で解るように逮捕者のほとんどがマフィア組織の末端者たちか臨時雇いであろう。

ちょっとでき過ぎた捜索事件ー情報源は中国・公安部リークかー

昨晩の捜索では、自動小銃3、いくつかの防弾チョッキ、その他の道具を含む7つの銃器が発見され、現場で押収されたという。怪我人のない銃撃、押収された銃器といい、ちょっと絵に描いたようなできすぎの捜索事件である。

それにしても不思議なのは、地元警察官まで丸め込んでいて地元では悪名が響くチャイナプロジェクト・ビルでありながら、憲兵隊を動員した捜索まで中国犯罪者たちが残っていたということである。銃撃戦も発生したというが、残っていた中国人からすれば捕まっても微罪で終わるという覚悟があって残っていたのではないか。

報道には「中国公安部」の名が出てくるが、このチャイナプロジェクト事件、元々中国・公安部からのリークでカンボジア側の捜査が行われた形跡が濃厚である。Khmer Timesという政府系メディアの報道がきっかけとなっていることからも、「なるほど」となるであろう。地元警察組織は腐敗しており、見て見ぬふりしてき来たのであるから内務省が動き、直接指揮で中国側のリークに応えた形である。それも中国の王毅外相のカンボジア訪問に合わせたこの時期である。

それにして、報道内容を見るに「大山鳴動鼠一匹」の感がある。

掲載写真:Khmer Times より。

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