28日、ベトナム国境のドローン騒動、軍500人派遣  

約20キロ離れた村の上空で軍によって発見 謎の光の点滅

カンボジアとベトナムの国境に27日夜、正体不明のドローン7機が国境から約20キロ離れた村の上空で軍によって発見されたという通報を受け、フン・セン首相からカンボジアに飛来している「謎の」ドローンを撃墜するよう命令を受けた500人の軍隊が派遣され、ラタナキリ州の国境付近に派遣されたという。

Fresh Newsが投稿したビデオでは、カンボジアとベトナムの国境であるラタナキリ州コ・ネク地区の上空に、多数の謎の光が見られる(下の地図を参照)。

このYoutubeに投稿されたビデオは、2023年6月27日月曜日午後7時50分頃にラタナキリ州のカンボジア国境部隊によって撮影されたものという。但し、ビデオを見る限り、光の点滅は見られるが、正体不明のドローン7機と言えるかどうかは定かでない。

この軍派遣は、28日ティー・バン国防大臣および他の軍高官に宛てた首相の音声メッセージによって行われたものである。

フン・セン首相は、「ベトナム政府はこれらすべての飛行装置には関与していない」と述べたが、「当初は無人機がベトナムのダクラク省庁舎攻撃に関与したベトナムのテロリストの制御下にある」と考えていたと述べた。

同首相は軍に対し、航空機を撃墜できる200機の防空兵器を携行した500人の兵士を直ちに派遣し、カンボジア国内のすべての無人機を撃墜するよう命じた。

フン・セン首相は、「ドローンの原因はまだわかっていないが、あらゆる形態の侵略やスパイ活動を防ぐためだ」、「彼らに対処する唯一の方法は、彼らを撃ち落とすことです。」、夜間にスパイ目的でカンボジアの国土にドローンが飛行するのは普通のことではない。」と説明している。

首相、国防省にドローンの脅威に対して断固として行動するよう警告

首相 ドローン撃墜に1機、20万㌦の報奨金を提示

フン・セン首相は28日、ラタナキリ州の無人機に対して直ちに行動を起こすよう国防省に警告した。今朝、プノンペンのポル・セン・チェイ地区で衣料品労働者1万8,313人と面会した際、フン・セン氏はそのスピーチで「ドローンを1機でも撃墜した軍関係者には20万ドルを支給する」と述べた。

また首相は、カンボジア政府がカンボジアへの今回の無人機飛行に関与した外国に対し、カンボジアの主権に対する重大な侵略の兆候であり、この行為について国連に告訴する予定であると警告した。さらにフン・セン氏は国防省に対し、昨日発令された無人機撃墜命令を実行するよう警告し、「なぜまだ何も行動を起こさないのか」と疑問を呈した。

フン・セン首相は国防省への苛立ちを隠せないが、国防省が「謎の物体の光の点滅」をドローンであるという確証が持てず、調査中であったとみえる。

外務省:ドローンの侵入はカンボジアの主権に対する容認できない侵害

カンボジア外務・国際協力省は今晩、報道声明を発表し、「カンボジア領空へのドローンの侵入は、カンボジアの主権と領土一体性に対する露骨で容認しがたい侵害である」と強調した。

外務省の関係者によると、カンボジア政府はベトナムのダクラク省で最近発生した庁舎襲撃事件を注意深く監視しており、庁舎や警察署に対する不法武装勢力による攻撃をテロ行為とみなしている。それは友好的な隣国ベトナムの安全と安定に重大な脅威をもたらしたと認識している。

この外務省の声明は「ドローンが侵入した場合」という前提のものであることに、読者に注意を促したい。

そして27日に発生した「謎の光の点滅」、28日午後からKhmer Timesをはじめに国内メディアが次々と報道したが、29日の正午の最新記事では、次のような報道記事となった。まさに「泰山鳴動 鼠一匹((たいざんめいどう ねずみいっぴき)」(中国古来のことわざ)となった感がある。

首相、Facebookユーザーが未確認ドローン事件に関連したフェイクニュースを投稿したと警告

フン・セン首相は、ラタナキリ州で発生した未確認ドローン事件に関して、フェイスブックに投稿されたフェイクニュースコンテンツを作成した者らに警告メッセージを発した、という。

今度は、悪いのはラタナキリ州の謎の光の点滅を7機のドローンと報道し、さらにYouTubeに動画を公開し、そのニュースを視聴したfacebookユーザーが次々と共有・コメントし、首相が「フェイクだ」と言わざる得ない、騒動となっている。

この騒動、権威ある公的機関が謎の光の点滅の正体そのものを未だ特定し、発表したわけではない、と理解しておく必要がある。

首相「ドローンと旅客機を混同しないで」

Khmer Timesは、29日の午後1時過ぎになるや、次のような記事を報じた。「謎の光の物体」は、実は民間航空機の上空通過だった。よく確認もせず、スクープとばかりにYoutubeに動画をアップし、カンボジア政府を騒動に巻き込んだ「フレッシュニュース」の責任はどうなるのであろうか。最後は騒動にオチが付いた感がある。

フン・セン首相は、ラタナキリ州での未確認ドローン事件に関して、フェイスブックに投稿されたフェイクニュースコンテンツを作成する者に対して警告メッセージを発し、「すべてのソーシャルメディアユーザーに、未確認ドローンに関連する虚偽の情報をソーシャルメディア上で拡散しないよう警告したいと思います。ドローンを、カンボジアの空路を通って他国へ定期的に飛行する民間航空機と混同しないでください」とフン・セン首相は語った。悪いのは国内動画ニュース・メディアであって、それを共有し、コメントしたfacebookユーザーではないことになった。

6月28日午後11時現在、カンボジア領空を侵犯したドローンはいないが、民間機3機がラタナキリ州上空を飛行していた。これは、現地に駐留するカンボジア王国軍の陸上軍司令官代理、ボディーガード司令官、副司令官、および統合参謀本部によって確認された。

これで500人の軍を派遣した「謎の光の点滅」はドローンではなく、無責任な動画ニュースメディアが引き起こした騒動でケリがついたようだ。

掲載写真:Khmer Times フレッシュニュース

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