<酷い話だ!が、それがタイではない> 捨てられたミャンマー人不法就労17人保護

タイのテレビ報道によると、バンコク西郊サムットサコン県のプラスチック工場で不法就労していたミャンマー人17人(タイ・メディアによって人数に異動がある)が22日夜、バンコク南郊のサムットプラカン県で保護された。このニュース、酷い話だ。だがそれだけがタイではない。

雇用主に捨てられた出稼ぎミャンマー人、でも助ける人や守る人もいる

保護された17人のミャンマー人はタイ人経営の工場労働者で車でサムットプラカンまで運ばれ置き去りにされた、などと話しているという。要は、今回のサムットサコン県水産市場で大規模クラスター感染の発生で、ミャンマー人の密入国不法就労が問題となり、プラユット首相が「(先ず)不法労働者を雇っている工場主の責任」と非難したからだ。雇い主がミャンマー人出稼ぎ労働者を厄介ばらいに置き去りにしたのだ。日本だって、不法就労を雇っている雇用者たちが起こしかねない問題である。人間を「安価」な労働力と言う見方がある限り、いつだって同様な事が起こる。

同大規模クラスター感染の発生についてタイ当局が感染状況や感染経路などの調査に乗り出している。プラスチック工場の関係者は調査で不法就労が露見することを恐れ、ミャンマー人労働者を他県に捨てたとみられおり、今回の保護事件は氷山の一角の感がある。こうした雇用者たちの非情さによって、同県に住む多数のミャンマー人労働者が職を失った。新型コロナの感染源だとしてタイ人からの差別も一層強まり、厳しい立場に置かれている。

事件を受け副知事が「ミャンマー人労働者も人である」と言明

 サムットサコン県の副知事は23日、「ミャンマー人労働者も人である。サムットサコン県、そしてタイの経済発展を助けている。正規の就労者か不法就労者かに関わらず、人道的に面倒を見るべきだ」と述べ、ミャンマー人に対する差別的、非人道的な言動を批判した。極々まっとうな見解である。権力を持つ者ほど、こうした見解を堂々と述べることが重要である。

*掲載写真:サムットサコン県水産市場の大規模クラスター感染 検査を受けるミャンマー人出稼ぎ労働者。  写真:AFP掲載より

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