カンボジア国立銀行が2016年に銀行が総貸付の少なくとも10%を現地通貨で配分することを規定して以来、銀行のリエル貸付は大幅に増加している。
6月下旬のFinancial Stability Reviewのレポートによると、信用全体に占めるリエルローンの割合は、2016年の1.5%から2021年には368億ドルの11.4%に徐々に変わったという。
基軸通貨はドルである。ドルからリエルへの基軸転換は無謀という懸念
同レビューでは、「信用の実現に向けたこのシフトは、流動性を提供する担保付き事業を通じたリエルの流動性提供の観点から、NBCによって適切にサポートされています」とある。総貸付の通貨別の内訳は、2021年の貸付全体のほぼ88.6%が米ドルであり、リエル貸付のシェアは約11.4%であることを示している。
中央銀行は、各機関にポートフォリオの少なくとも10%をリエルで提供することを義務付けており、最近のカウントでは、CMAのメンバーはさらに進んで、20%の融資を達成したとカンボジアマイクロファイナンス協会の事務局長であるPhalVandyは述べている。
かつてカンボジアの野党勢力が、「国内通貨の単位がありながら、それが主流にならないのは恥で問題だ」と批判していたが、まともにカンボジアの現状を見れば、批判は簡単だが現実的ではない。国連主導によって和平が実現し、国連主導でカンボジアの経済、生活の再建が未だに進められている現状で、リエルの価値は、ドルの価値に裏付けされている故に信用されているに過ぎない。つまり、国立銀行自体の方針もドルを基軸通貨とする施策はブレてはいない。
もし、全面的にリエルに通過を切り替えた場合、リエルが基軸なら、カンボジア経済の実態をグロバールな評価にさらし、価値変動が大きくぶれること必定で、さらにはハイパーインフレーションを迎える怖れさえある。
経済、時に基軸通貨の価値は偏狭なナショナリズムでどうにかなるものではないことは、経済を知るものには常識でさえある。
掲載画像:Khmer Timesより