タイ政府筋は21日、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国外相を招き、国軍によるクーデター後の混乱が続くミャンマー情勢を話し合う会議を22日にバンコクで開くことを明らかにした。だが、会議にはミャンマー国軍が任命した外相も招待するとあって、加盟国の多くはASEANの合意に反すると欠席する意向であった。タイの呼びかけに応じたのは3か国、そのうちベトナムは格下げの副外相が出席という不様な会議となった。ミャンマー軍事政権をASEANは内戦の当事者解決を要請している。
タイ政府、一皮むけば軍部のクーデターで成立した軍部政権=プラユット政権。コロナ禍を利用しての選挙の先送りで、いつだって反軍政デモが起こるようの不人気政権、この期に及んでミャンマー軍部と裏では繋がっているとの噂が絶えないタイ政府、ミャンマー問題で抜け駆けを図ったが、多くの国が欠席せず、タイ主導のASEAN会議は頓挫した。今年の1月、カンボジアのフンセン首相が同様の動きを見せ、ASEAN内部から反対で外相会議を延期せざる得なかった。
日本での24日の報道、ASEANの軋みとタイ政府の動きを批判的に報道
タイ政府筋によると、ミャンマー国軍が外相に任命したワナマウンルイン氏とタイのドーン外相のほか、2カ国外相が参加を確認しているが、マレーシア外務省は「外相も代理も派遣しない」と明言。インドネシアとシンガポールの外相も出席を見送る見通しだという。
そもそもASEANは首脳会議や外相会議への国軍関係者の出席を認めていない。11月中旬に開かれた首脳会議では、国軍を排除する会議の拡大について協議し、同月下旬の国防相会議に国軍関係者を招かなかった経緯もある。ASEAN議長国は今年はカンボジアで、来年はインドネシアが務める。議長国ではないタイが緊急に会議を主催する理由について、何を焦ったのか、タイ政府筋は「情勢が切迫し、ミャンマーと直接協議する必要があるためだ」と説明したと述べている。これでまた、観光は復活軌道に乗ってもコロナ禍で経済が落ち込んだタイ、観光以外に何ら打開策を打ち出せない退嬰的なタイ政府に国民の不満は昂じている。いつ反政府デモが起こっても不思議ではないが、一見平穏なうちに、タイだけでもミャンマー軍部政権とパイプを太くしておこうという抜け駆け外交を図ったようだが、軍部同士のお友達関係とタイ国民の多くはそれを見抜いている感がある。
タイがASEAN会議を呼び掛けても、応じたのはわずかに3か国
東南アジア諸国連合(ASEAN、10カ国)の一部加盟国は22日、タイの首都バンコクでミャンマー情勢を協議する非公式の外相会合を開いた。ミャンマーと国軍同士の関係の深いタイが全加盟国に提案したが、応じたのは4カ国のみで、「タイは加盟国間の分断が浮き彫りになった。」と日本では報道されているが、「分断ではなくタイ外交の明らかな孤立」したというほうが実態に近い。
ちなみに会合にはタイ、カンボジア、ラオスの各国外相とベトナムの副外相(格下げ)、ミャンマーからは国軍が外相に任命したワナマウンルウィン氏と国際協力などを担当する閣僚が出席した。出席国を見ると、中国の影も見え隠れする。タイ外務省によると、「ASEANが昨年4月の臨時首脳会議で合意した暴力停止など5項目の履行についてミャンマー側に説明を求めた上で、意見交換した」とは、ある種の言い訳、これがASEAN諸国の共同決議なのだから。
タイが今回の会合を呼びかけたのは、ミャンマーの一層の孤立を避けたい意図があったが、欠席した多くの国はミャンマー国軍の代表者と会談することで国軍統治に「お墨付き」を与え圧力が弱まることを懸念している。