ベトナム外務省・副報道官は8月8日(木)のハノイでの記者会見で、「ベトナムはカンボジアのフナン・テチョ運河プロジェクトの実施を尊重する」と述べ、さらに同副報道官、「フナンテチョ運河プロジェクトが同地域に与える影響の総合的な評価についてカンボジアと連携したい」と付け加えた。
同副報道官のカンボジアへの要請は、「メコン川はかけがえのない財産であり、ベトナム、ラオス、カンボジアの特別な連帯と友好の結節点である」と説明し、「ベトナムは、カンボジアを含む川沿いの国々が、地域社会と将来の世代の利益、そして国家間の連帯のために、水資源を効果的かつ持続的に管理・開発するために協力することを望んでいる」と強調した。そして「この精神に基づき、ベトナムはカンボジアの開発努力を支持し、同国による運河プロジェクトの実施を尊重すると述べ、ベトナム政府はプロジェクトの影響を軽減するための適切な対策を策定するために現場でカンボジアと協力することを期待している」と、その要請理由をあげている。
カンボジアは5日(月)、メコン川から海への新たな連絡路を提供することを目的とした17億ドルのフナンテチョ運河プロジェクトを既に起工式を開いている。
カンボジア政府は、この運河はベトナム経由の輸送手段の代替手段となり、ベトナムの港への依存を減らし、建設費用の21~30%を上回る経済活動を生み出すだろうと述べている。
ベトナムのフナンテチョ運河プロジェクトによる新たな提案は、ベトナム外務省副報道官の発言だから、ベトナム政府からカンボジア政府への公式な要請である。
メコン川流域諸国によるメコン川利用の調整をするメコン委員会があるように、カンボジアの運河プロジェクトはメコン川とタイ湾を結ぶ運河、ある意味でベトナムならではの巧みな提案(外交攻勢)でカンボジア側として断りにくいものである。ベトナムの提案は、ある意味で中国へ牽制であり、ベトナムが運河プロジェクトに関わってくるのは中国にとっては不快であろう。カンボジア外交も難しい舵取りを迫られる。
掲載写真:ベトナム外務省の記者会見 Khmer Times掲載