プノンペン 土・日はいつもの日常、抗議集会もデモもなし

泰山鳴動、鼠一匹も出ずとプノンペンの土・日であった。

駐カンボジア日本大使館もカンボジア政府が首相、元首相をはじめ治安機関を総動員にして国内に反政府の動きがあると喧伝したため、在カンボジア日本人に緊急に注意喚起を配信したが、泰山鳴動するような国内メディアの騒ぎにも関わらず、鼠一匹も出た形跡もないいつものプノンペンの土・日である。

実は、こうした騒動、「狼が来る」というものは、強権による野党:救国党の解党措置やその外国指導者のサムランシー氏の帰国の試みの度にここ20年、何度もの恒例行事のような騒動である。そして多くは空騒ぎで終わる。

国内メディアも言論統制で政府側の喧伝を繰り返すが、プノンペンで今回の集会や抗議について話題にするカンボジア人の話をほとんど聞いていない。もし起こる予想があれば、口コミ社会であるカンボジアだから先週の頭あたりから噂が在住外国人にまで漏れてくるはずだが、その形跡は全くなかった。

噂好きの国民性だから、強権でもカンボジアでは止められない。それに国内メディアのニュースを追っても旧救国党が反政府デモを海外から反政府抗議を呼びかけてはいるのは解るが、カンボジア・ラオス・ベトナム開発三角地帯(CLV-DTA)でカンボジアがベトナムにその領土を譲り渡した旧救国党の主張には触れていても、具体的に領土譲り渡しがどこの、何を指し、なぜカンボジアが不利益なのか、という点は、政府も「そんなことはない!」というだけで、全く野党と政府の争点の内容に触れた報道は国内メディアでは寡聞にしていっさい触れいないように見える。

在駐カンボジア日本大使館の<注意喚起>の配信メールでも、肝心の争点については触れていない。

率直に言えば、今回の大山鳴動は、海外の野党団体とカンボジア政府との間の空中戦で、国内では何が争点かは具体的には解っていない感がある。海外の野党団体は植民地時代のフランスの巧妙な分割支配で醸成されたカンボジア人に根付く伝統的な反ベトナム意識を掘り起こすのが反政府への常套手段である。これは政府ならずともヘイト利用と非難される手段である。

今回の騒動も海外野党系の動きはカンボジア人の反ベトナム意識を刺激するという常套ヘイトを用いた感があるが、一方で国内メディアは政府広報のKhmer Timesをはじめ反政府デモの警戒を喧伝していた。が、カンボジア人をはじめ英字紙を読む外国人は肝心の何が具体的な争点なのかはほとんど解らない争点であり、各国大使館が出す注意喚起の安全情報も空振りを前提としたようなもので、身近なカンボジア人では噂する出ない空騒ぎであった。

土曜日、日曜日も首都プノンペンを含むカンボジアの状況は、極めて平常通りでした。野党がが扇動したいう政府に対する抗議集会や運動はなく、国の全体的にいつものカンボジアであったとKhmer Timesを国内メディアは一斉に19日(月曜日)朝、報道した。

そして国防省の国務長官兼報道官であるチュム・ソチェート将軍は、人々は普段通り日常生活を送っていると付け加えた。同時に、街路や公共の場所では目立った事件もなく平穏であったと述べている。

掲載写真:国営カンボジア通信(AKP)

おすすめの記事