ドキュメント・想定外の感染爆発2 <2月20日市中感染事件>から1か月 外国人感染者の非協力、検疫施設の腐敗、密入国闇ルート

3月4日、感染者急増が続く、プレアシハヌークビル州、州知事は遂に州境の物的交流を維持しながら人的出入り禁止措置を取った。

3月6日、保健省はプノンペンの検疫施設兼隔離病棟での中国人の不審死の噂について、薬物過剰摂取の死であると公表した。この件が後にプノンペン検疫施設兼隔離病棟のいい加減さがフンセン首相の耳に入り、激怒させることになる。

6日の時点で感染者数は11倍に増えていた。

7日突如、フンセン首相は保健省への不審を表明しプノンペン検疫施設の病棟を閉鎖し、患者を旧グレートデユークホテルを病院として改装し、患者を直ちに移すよう命令した。

7日の時点で感染者の確認は、1日の1都2州から1都6州に拡大していた

8日にはフンセン首相の指示と保健省の対応の食い違いが表面化、どうやらプノンペン検疫センターに病棟が併設されていたことが、6日まで報告されていなかった、旧グレートデユーク・ホテルを隔離病院とするという昨年2月の首相の指示が無視されていたことが発覚したようだ。

上記のような動きで9日は、政府・保健省が混迷し、政府情報を一手引き受けているKhmer timesの報道も矛盾するような記事を時間差で掲載し混迷していた。

10日、外国人感染者の非協力に対する厳罰化やプレアシハヌークビルの人的移動の制限などが行われる中、中国人のコロナ対策の制限無視の逃走が相次いで摘発された。

3月11日頃から地域住民への感染拡大が増加

3月11日頃から、地域住民への感染増加が始まった。圧倒的に多かった中国人(感染者の9割)やベトナム人だったが、カンボジア人の感染増加ペースが上がって来た。<2月20日市中感染>から凡そ18日間である。20日の32名の感染者確認から652人に急増していた。

腐敗はプノンペン検疫所だけではなかった

政府の意を受けて9日にKhmer Times が悪名高いと評したプノンペン検疫所だが、シハヌークビルでも同様な実態を匂わせる事件が起きた。

それも1度ではない。

ベトナム:中国人の密入国闇ルートの摘発相次ぐ

中国人やベトナム人の検疫無視に手を焼くカンボジアだが、3月に入ってベトナムではカンボジア渡航を目指してベトナム=中国国境を不法入国する中国人の検挙が連日報道される。そうしたなか、カンボジアでもベトナム国境を越えて不法入国の中国人の摘発が見られるようになった。

中国、ベトナム、カンボジアに数多の運び屋(ブローカー)、元締めはマフィアであろう

まさに中国人密入国の闇ルートの存在である。コロナ禍第3波で多くの中国人が帰国し、直行便で入国する中国人が減っているのに関わらず、なぜこの時期に多くの中国人が闇ルートで密入国を繰り返すのか、実に奇怪なことである。この闇ルート、中国からベトナム国境の山岳地帯に両国の不法入出国のブローカーの案内で入り、車でバトナム南部に入る。さらにカンボジア国境を目指すルートである。ベトナムは昨年7月のコロナ禍第2波が起こった時、中部海岸都市地域では多くの感染者を出し、さらに初となる死者もでた。その頃、感染源は闇ルートでベトナム社会に入り込む密入国中国人の存在が問題となった。その後ベトナム政府は、国境警備を厳重にし、闇ルートの摘発に努めた。その際には闇ルートで中国に運ばれる若いカンボジア女性たちも救われている。そして3月に入り、相次いだベトナム南部でのカンボジア渡航を目指した中国人たちの摘発である。この闇ルート、ベトナム・カンボジア両国にブローカーがおり、彼らの移送を手伝い、中にはカンボジア地方当局とつながっているという噂もある。

だが、問題はカンボジアでの中国人出稼ぎ労働者の必要性である

考えられるのは出入国管理の厳しさによるカンボジアの中国人企業の人手不足か闇企業の仕事である。例を挙げると禁止されたカンボジアのオンラインカジノや中国本土向けの詐欺事件、そうした犯罪の元締めが米国より海外資産凍結を指名された香港マフィア組織(三合会の一つ)中国本土のマフィア、2019年には多くの中国人が国外追放に遭い、中国本土でも摘発が相次いだことなどが記憶に新しい。

この間、カンボジア国内の市中感染は拡大する。

11日、カンボジア初のコロナ感染死者を公認

3月11日、保健省が公的に認めた新型コロナウイルス患者に初めて死者がでた。

プレイベン州で大規模クラスター感染が発生した。7日から12日の間である。

保健省、「プノンペン都の感染リスクが高い」と警告 変異種の危険

身近に迫って来たコロナ禍

3月13日、保健省はプノンペン都は感染リスクが高い、変異種の蔓延の怖れを訴える。

これはプノンペンに住む外国人(中国人コミュニティーや夜遊びスポットに関連するベトナム人、カンボジア人以外の外国人)や地域住民であるカンボジア人にもコロナ禍の恐怖が迫って来たことを示す。「さあ、どうする」と自らに問いかけた者が多かったに違いない。

ドキュメント・想定以上の感染爆発3に続く。

 

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