政府 1月15日まで「新型コロナの非常事態宣言」を大幅延長<動画有>

非常事態宣言の8度目の延長、政権延命策と批判される

タイ政府は、「新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため」という名目で3月より発令中の非常事態宣言について、「国内で相次ぐ反政府デモで感染者の集団=「クラスター」が発生するおそれがある」などの理由を挙げ、再三転調し、今度は来年1月15日まで大幅延長すると発表した。

タイ政府は、18日記者会見し、非常事態宣言について、今月末に迎える期限を延長し、来年1月15日までとすることを明らかにした。8月以降、具体的な経済再建策もないまま、国内感染が起こっていないなかでの大幅延長で、実質軍事政権のタイ政府の延命策に非常事態宣言が使われているというのが、大方の見方であり。

今回の延長で実に8回目の延長となり、3月26日に非常事態宣言を発令し、夜間外出禁止、県間移動の原則禁止、混雑するイベントや集会の禁止、入国規制といった措置を導入したが、こうした措置の多くはすでに解除されている。18日までのタイ国内の新型コロナ感染者数は累計3880人で、このうち60人が死亡した。過去半年以上、報告があった感染者のほとんどは隔離中のタイ人帰国者、外国人入国者で、国内感染はほぼ収束しているとされている。。

こうした状況からも感染拡大を理由に宣言がデモの抑え込みに使われるのではないかと懸念があるのは、当然で8度目の延長は政権延命策と批判されている。

一方、大幅延長が閣議決定で発表された前日(17日)に「タイ反政府デモは、55人が負傷し、銃撃もあった」とロイター通信が伝え、早速、各国の主要ニュースで取り上げている。[バンコク 17日 ロイター] - タイの首都バンコクで17日、国会に向けて行進していたデモ隊が警察と王室支持派の集団と衝突し、少なくとも55人が負傷した。実弾の銃撃による負傷者も含まれている。若者が主導する抗議運動が7月に始まって以来、最も激しい衝突となった。デモ隊は、憲法の変更を議論している議員に圧力をかけるために国会に集結。デモ隊はまた、元陸軍司令官のプラユット首相の解任と、ワチラロンコン国王の権力の抑制を求めている。

*動画:2020年11月18日 NHKニュースより

翌日(18日)、反政府運動は、反政府・王室改革を求めて憲法改正で「デモ隊はこのうち軍の政治への強い影響力を与えている条文の削除とともに王室に関する条文も含めた幅広い改正を可能にする民間の団体の案」を指示しているが、否決され、抗議のために国会議事堂に迫り、ペンキ等を投げつけた。

そうした最中の非常事態宣言の大幅延長である。

*掲載画像: 国会にペンキを投げつけるデモ隊 画像 朝日新聞ニュース 2011.11.18

おすすめの記事