カンボジア 不動産開発プロジェクトの活動は低迷中 7.2付け

日本の投資詐欺の広告では未だに、資産防衛の勧めと称してカンボジアは有力な投資メリットがあると高層マンションの購入を勧めているが、コロナ以前から不動産開発ビームはピーク終え、コロナ禍がそれに拍車をかけた。プノンペンも街を見れば、野外のビヤガーデンから喧騒が聞こえても、高層マンションの灯りは実に寂しいもので、不在地主が多くても実態は、売れ残りが続出しているのだろう。

カンボジア自体の市場の狭さに狂ったような過剰投資は、やがて崩壊すると知を持つ者なら解ることである。コロナ禍では給付金詐欺やオレオレ詐欺は活発だが、海外への投資詐欺はさすがに日本では少なかったようで毎年のように摘発されるカンボジアを舞台にする詐欺は減った。「資産防衛」という名の対象者は有資産者で、大衆の大部分には無関係な話ではあるが…。

このほど、Khmer Timesは社会面では珍しく不動産開発の低迷を報じた。読む者には今更の感が有るかもしれない。敢えてマイナス情報は報じないという姿勢であったかと勘繰りたくなる。

このほど世界銀行はカンボジアに関する報告書の中で、COVD-19のパンデミックの打撃は建設業界に大きな打撃を与え、住宅建設活動は特に大きな打撃を受けたと述べている。2022年には、新しいマンションの予想供給量のわずか5%が第1四半期に完了しただけだった。市場が残りの在庫を吸収しようとするため、新規の立ち上げは鈍化してしまった。

高級マンションの平均販売価格は引き続き下落し、手頃な価格のミッドレンジマンションの価格は安定しました。マンション市場は、地元の人々が高層住宅に住むことに比較的慣れていないことを考えると、当初は外需によって牽引されていた。要は中国人を中心とする外国人の転売目的の購入である。ここに日本の投資詐欺が付け込む余地があった。

新型コロナのパンデミックが発生し、外需は中断された。その結果、特にプノンペンやシアヌークビルなどの都市部の高層開発プロジェクトへのFDI資金による不動産投資のほとんどが停止された。供給過剰は、不動産開発プロジェクトへの投資に対する外国人投資家の意欲を低下させたという負のスパイラルに陥った。不動産および不動産開発の承認されたFDI融資は、2019年の17.8億ドルから2020年には14200万ドルに大幅減少した。これで投資目的での購入資産者は大損した。

不動産および不動産市場の需要の低迷を反映して、承認された建設許可の値は、2022年の最初の3か月間に66.0パーセント縮小したという。同様に、承認された建設許可エリアは、前年比67.9%縮小しました。同期間に、主に建設業に使用される基本的な建設資材(セメントおよび鉄鋼)の輸入量は37.5減少しました。%テージを見れば、バブル崩壊以上の廃墟状態に等しい。一大経済崩壊だが、これが大きくカンボジアで騒がれないのはビルの不動産資産なんていうものは初めから圧倒的多数のカンボジア人には無縁なことで、大損も外国人、特に中国人を含む外国人や政権と結びついた特権層のマネーゲームに過ぎないからである。富裕層にとっては有り余る資産に損はかすり傷にもならないのだろう。それほどに富がごく一部に偏在している超格差社会なのである。

危機に先立つ数年間、建設および不動産セクターは最大の成長エンジンであった。GDP成長の3分の1以上を占めていましたという。その典型的な姿がシアヌークビルの中国化である。そこはパンデミック前の期間に最も急速な建設ブームを経験したカンボジアの都市の中心地の1つであったが、今やコロナ禍を通じて、中国化は中国マフィア化を象徴する街に転落した。

海辺の州都は、201920年に58億ドルの承認された建設プロジェクトを受け取りました。その結果、当初はカジノ業界に支えられた投資ブームタウンに変貌しました。

現在、シェムリアップやシアヌークビルなどの観光に依存する都市は、パンデミック前のレベルに国際的な到着がないため、苦戦を続けています。

見通しは依然として不透明ですが、パンデミック(および中国のゼロCOVID-19政策)が私たちの背後にあると、エンターテインメント業界、つまりシアヌークビルなどのカジノやリゾートに後押しされた不動産ブームが発生する可能性があります。

2019年の新しいカジノ許可のモラトリアムの後、202011月に商業ギャンブルの管理に関する法律が公布されました。その最初の記事は、経済を後押しし、観光を強化し、収入を集め、社会の安全とセキュリティを確立することを目的としています。

2021年10月、当局は、カジノおよびギャンブルのライセンスを取得、譲渡、および延長するための法的および規制要件に関するPrakas(規制)を発行しました。観光産業を支援するために、主に官民パートナーシップによって資金提供されているいくつかの進行中の大規模インフラプロジェクトが構築されている。これらには、新しい20億ドルのプノンペン-シアヌークビル高速道路、新しい15億ドルのプノンペン国際空港、新しい88000万ドルのシェムリアップ国際空港、および新しいココン国際空港の35000万ドルが含まれている。だが、こうしたインフラに見合う沿岸部の開発がどうなるかは、一重に中国経済の先行と世界情勢の変化にある。ロシアの長期的な没落とお友達の少ない中国、無理なセロコロナ政策(カンボジアは表向きだけ実態はまるで違う)と時代遅れの権威主義、習近平政権が3期目を迎えても盤石ではない。カンボジアが東南アジアで唯一の拠り所である中国はどうしても手放せなく、投資を続けるが、カンボジア自体が新たな世代―戦争知らない世代―の台頭で親中を続けられるか、10年先は解らないというのが事実である。

掲載画像:Khmer Timesより

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