インドメディアの同胞約5000人「人身売買」被害者を確認の報道を受け、内務省は調査開始

カンボジアで5,000人のインド人が閉じ込められ、詐欺シンジケート(組織)のために強制労働させられているという(カンボジアにとって)未確認の報告書がインドの英字メディアで報道され、カンボジア内務省はそうした報道を受けて調査を介した。

インドの英字新聞インディアン・エクスプレスは3月29日(金)、インド内務省(MHA)が今月初めにインド外務省(MEA)、電子情報技術省(Meity)の当局者らと会談したと報じた。 インドサイバー犯罪調整センター(I4C)およびその他のセキュリティ専門家は、カンボジアに閉じ込められているインド人を救出する戦略を計画しているという。

同紙はこの会合に基づいて、カンボジアで5,000人以上のインド人が拉致され、法執行機関を装うなど、祖国の同胞に対するサイバー詐欺を実行するために犯罪組織に「利用されているとされる」という「情報筋」の情報を引用し報道した。同報道では「データによると、インドでは過去6カ月間に(カンボジア発のサイバー詐欺により)5億ルピー(約6000万ドル)が失われた」と情報筋は述べたという。なた「情報源」によると、エージェントがカンボジアでのデータ入力の雇用機会を装って、主にインドの南部地域出身の個人を勧誘し、その後、これらの雇用者にサイバー詐欺行為を強要していたことが判明したという。 

30日、駐カンボジアインド大使のデビヤニ・コブラガード氏、カンボジア国内メディアの問い合わせにインドの新聞で報道された数字については正確かどうかは分からないと答えている。

インド内務省(MHA)の報道官:ランディル・ジャイシュワ氏が「駐カンボジア・インド大使館に救出を求めてきたということしかわかっていないが、そのうちカンボジア当局の協力により約250人を救出することができました」と述べている。また、「そのことは駐カンボジア・インド大使によって確認された」と述べている。

同省(MHA)の報道官:ランディル・ジャイシュワ氏はプレスリリースで、「カンボジア当局と緊密に連携し、約250人のインド人を救出し本国に送還し、そのうち75人が過去3カ月間で(救出された)」と述べ、 「在カンボジア大使館は、雇用の機会に誘われて違法なサイバー労働を強いられたインド国民からの苦情に迅速に対応している」、「我々はまた、これらの詐欺計画の責​​任者を取り締まるために、カンボジア当局やインドの機関とも協力している」と付け加えた。

一方、在カンボジアのインド大使館によると、カンボジアの推定インド人人口は、インド東部から家庭用品を販売する小規模な行商人で構成される一時的なコミュニティを含めて約2,000人である。一般に、カンボジアのインド人は医師、メディア専門家、NGO職員などの専門職のほか、製薬、教育、レストラン、農業、プランテーションなどのさまざまなビジネス分野に従事しています。さらに、国連機関で働き、カンボジアの政府機関や機関の顧問を務める人もいます。ただし約2000人という数字には、観光ビザに頼って入国した人は含まれていないとのことである。

それにもかかわらず、カンボジア内務省は、そのような報道がインドの英字メディアに取り上げられ、カンボジアの評判に多大な影響を与え、観光客や投資家を遠ざける可能性があるため、真実を解明するためにインディアン・エクスプレスの報道に関して調査を開始したという。

内務省のタッチ・ソカク報道官は「われわれは報告書を確認しており、それに基づいて行動を起こすつもりだ」、「(人身売買被害者が)存在する場合には)グループを特定するために、駐カンボジア・インド大使館に協力を要請するつもりです」と述べている。

インド国内メディア:インディアン・エクスプレスの報告書は、カンボジアが今月初めにプノンペンとインドの首都ニューデリーを結ぶ史上初の直行便を発表した後、インド人観光客の急増が見込まれているため、カンボジアにとって非常に悪い時期に発表されたことになる。観光省のデータによると、昨年カンボジアは6万8,836人のインド人客を迎え、前年の3万4,016人から102%以上増加した。

しかし、過去3年間、カンボジアは、タイや中国からオーストラリアや米国、日本に至るまで、さまざまな国の被害者を巻き込んだ求人詐欺の形で人身売買の温床とみなされてきた米国による2022年人身取引報告書で物議を醸しているカンボジアの格下げは、報告症例の急増が原因である可能性が高い。

この報告書はカンボジアを第2段階から第3段階に降格させた。2023年6月に発表された年次人身売買報告書ではカンボジア政府が人身売買撲滅の取り組みにおいて『最低基準』を満たしていないとして非難し、カンボジアは依然として第3段階の降格のままである。

掲載写真:インド大使とカンボジア内務大臣の会談 Khmer Times

 

おすすめの記事