噂の拡がりには大きく2種類ある
噂が広がるのは、その噂を聞き、他の人に流す噂には2種類ある。一つは荒唐無稽な噂、「さもありなん」という噂である。初めの噂は誰もが見分けるからジョークの一つとして拡がり、拡がりの範囲も時間も限界がある。後者の場合、「そういうことは起こるだろう」という日頃の疑念が受け入れ基盤だからやっきとなって否定しても人々の間に深く、長く残るか再び似たような噂の波が訪れる。そして口伝の噂では伝言ゲームの拡張版になる。「嘘―!」と笑うちゃうのような話は罪が少ないが、噂の内容の規模が大きなるもが怖いーかつての「口裂け女」ー。そこに噂を聞いてそれを伝える者はその人の頭のレベルで解釈や付けたし、歪曲が加わる。
カンボジアは報道統制下、昔から噂が真実(まこと)しやかに広まり易い。カンボジア人のみならず外国人もこの国をニュースをそのまま丸飲みする者は少ない。先日、本サイトに取り上げたフェイク、投稿記事「政府は警告 早速ワクチン接種をめぐるフェイクに」の<クラチェの病院での女性の死>なぞ、ワクチンがらみの死というフェイクは否定し易い。病院の記録や関係者の証言が得られるからである。このフェイク、中国製ワクチンへの不信が悪意ある形でてきたものである。今回、保健省が否定した噂を抑え込むのは意外に難しい。
噂を抑え込むのが難しい噂もある
保健省・報道官ヴァンディン女史は、カルメット病院での金銭と引き換えに、同省が許可されていない人に密かにSinopharm Covid-19ワクチンを接種したという最近の噂を否定した、という。彼女は噂を伝えた地元メディアの報道を非難し、ワクチン接種は無料であり、いかなる状況でも販売されておらず、現在、保健省によって適格であると特定されたグループのボランティアのみが利用できる」と述べた。
「私はその告発を完全に否定し、そのような捏造で社会を汚染し、これらの誤った概念や偽情報を広めた人々を非難します。予防接種を受けるために誰もお金を払う必要はありません。」という。
また、「中国大使館は2月24日に警告を発し、カンボジアの一部の中国市民から、120ドルのサービス料金で予防接種を提供する携帯電話で中国語のテキストメッセージを主張する報告を最近受け取った」と述べた。それは中国語のメッセージによると、受信者はカンボジアで「中国国立医学の新しいコロナウイルス肺炎ワクチン」を受け取るように予約することができる、というものである。また中国大使館は、ソーシャルメディアで「中国製のCovid-19ワクチン」を1回あたり450ドルもの高額で公然と売り込んでいるという報告もあると述べ、カンボジア人はこれらの主張に当然懐疑的であると付け加えている。これは中国国内でも伝えられるワクチン詐欺のカンボジア版ともいううべきものが起こっているのだろう。
また、日本でも1月に主要紙が「中国製ワクチンを日本の富裕層が購入し接種、売り込みブロカーも存在する。」と報じている。これは中国が正式に報道で否定しているが、中国という国自体が昔も今も賄賂が役人に横行している現実、主要紙が報道する限り、それなりの裏取りもした記事である。日本だって規模は小さくとも合法を装った忖度による利益供与や後援会に入れば格安費用で済むといった風潮が歴然とある。ましてやカンボジア、「ワクチン横流し」の噂をフェイクと片付けるのには難しいところがある。「人の口に戸は立てれない」というのは日本の諺である。
*掲載写真:ワクチン接種(イメージ) 画像:Khmer Timesより
*参照:関連記事 下記の文①、②の文をクリックしてください。(投稿順)
① 「カンボジアでワクチン販売」報道の中国紙編集長、逮捕、強制送還