ケアされず病院で死亡妊婦の死体の自宅への輸送途中、道路脇に遺体を投棄した救急車の運転手が、18日ラタナキリ州知事に解雇された。
このニュース、さすがカンボジアでもちょっと信じ難いが、事実のようだ。
ラタナキリ州報道官Nhem Sam Oeun氏:「救急車の運転手は18日州知事によって解雇された。一方、(知事)州の紹介病院もその仕事の怠慢で非難された」とは述べたという。「地獄の沙汰も(お)金しだい」という日本の諺があるが、お金で何でも可能、不可能が決まるようなカンボジアでも、こうした酷薄な事件は珍しい。
妊婦の兄カベム・ワン氏は苦しむ妹を救急車を呼び2月22日に州立紹介病院に到着した。が、医師は病人が貧しいためあまり注意を払っわず妊婦クヴェム・マックさんは翌日亡くなった。病院は救急車の運転手:Un Bunlengに彼女の体を自宅の村に戻すように命じたが、彼は途中で救急車を止め、彼女の身体を道路の脇に放置したという。
この事件、報道を見るに先月23日に起こっている。そして昨日18日の運転手の処分とある。どうも掲載された写真は事件直後のものではなイメージ掲載のようだ。写真のような人が集まるなら救急車の運転手の非道はすぐに明るみになり、大騒ぎになるはずだ。実際は、妊婦と付き添いの兄が見るからに貧しく、病院の医師は碌な手当てもせず死亡に至らしめたのだろう。その上の厄介払い、運転手もチップも出せないような死体運びを嫌がった。そして死体遺棄後、車はそのまま知らん顔で走り去った、というのが真実に近いだろう。妊婦の兄があまりの対応の酷さに粘り強く訴えた結果、今回の非道な事件が明るみに出たのだろう。
カンボジア人の多くが「貧しさ」ゆえの扱いということであり得ると思っている。例えば、スイスNGOの病院のカンボジア人医師、看護士の同胞への扱いや言葉遣いの酷さは有名で、治療費がタダであるから我慢していると多くの患者がいう。
ラタナキリ州はカンボジアの最東北部の州で少数民族が7割近くを占める州である。州全体が最も貧しい州の一つ、兄妹の名前を読むにクメール族ではない可能性が強い。格差と先住民に対する対応がかくも非道であったとも考えられる。
*掲載写真:事件の記事に掲載された写真だが、単なるイメージと思われる。画像:Flash Newsより。