カンボジア政府高官は、カンボジアの人身売買撲滅に向けた取り組みに関する「米国国務省の報告書の内容」に対し、強い反発を示した。
米国の国務省によると、6月24日に発表された「2024年人身売買報告書」は、「この忌まわしい慣行に関する世界で最も包括的な評価と、世界中の政府や関係者による人身売買撲滅に向けた取り組みを提供している」と述べている。
今年の報告書は23年度の調査に基づいたもので、カンボジアは最低ランクであるティア3の評価のままである。なかでも、カンボジア政府高官にとって痛いのは、報告書には「人身売買犯罪における汚職と政府高官を含む公的共謀」の疑惑が指摘されていたからである。そのために否定という強い反発になったようだ。また、一部の当局者が人身売買対策を故意に妨害したり、特にオンライン詐欺行為に関して、サウジアラビア国内での人身売買犯罪の蔓延や深刻さを軽視したりしていたことも示唆されている。
同報告書に対しカンボジア内務省報道官:タッチ・ソクヘック氏は、米国の報告書は「政治的目的にかなうもの」だと述べた。同氏は「報告書が不正確であり、カンボジアがこの問題を防止し取り締まるために行っている継続的な努力を反映していない」と指摘し、事実上の否定の見解を示した。
「カンボジアは人身売買との戦いに目をつぶってはいません。報告書の主張とは対照的に、私たちはこの取り組みに細心の注意を払っています。その分析は、歪んだ国際政治の枠組みに基づいているようです。カンボジアをこのようにランク付けすることは、何も新しいことではありません」と同報道官は語った。
「彼らが遠くから調査を行い、現地の状況を調べていないことは明らかだと思います。包括的な情報が不足している著者らは不正確な評価を下しましたが、それはカンボジアとの将来の交渉において何らかの政治的利益を得る目的で行われたものと思われます」と付け加えている。
そのため「報告書が実用的な価値があると認められる前に、報告書を発表した人々がその正確性を再検討すべきだ」と述べている。
今回の米国の国務省報告で最も深刻な疑惑の一つとして、報告書は、政府が「人身売買関連事件への公的共謀の過去および現在における公的な疑惑のある個人を、政府の人身売買対策を監督する、またはそれに対して大きな影響力を持つ役職に任命した」と記載したことである。 また、「一部の政府高官や顧問が、オンライン詐欺業者が労働搾取の被害者を搾取するために利用することが知られている不動産や施設を直接または企業を通じて所有し、こうした犯罪から直接的に金銭的利益を得ていたことも示唆されている」
同報道官:ソクヘック氏は、「内務省を含む当局が地方レベルでのさまざまなプログラムを通じて国民の意識を高め、人身売買犯罪の発生を予防するために懸命に取り組んでいると主張し、 当局は人身売買事件への対応を躊躇せず、こうした犯罪やその背後にいる人物に対する捜査を定期的に行っている」と主張している。
また同氏は、サル・ソカ内務大臣が各州知事やあらゆるレベルの警察官に対し、こうした犯罪を適時に予防し取り締まることの重要性について定期的に注意喚起を行っていると指摘している。さらに外務省が主に外交官やカンボジア駐在大使館を通じて、他の多くの国々と緊密に連携していることを強調した。同氏は、ソクヘック氏が人身売買対策活動に関する最新情報を外国の外交官や大使に定期的に提供していると説明した。
一方で「残念ながら、これはカンボジアだけで起きているわけではない。他の多くの国でも、たとえ強力な国であっても、人身売買は依然として行われている」と述べている。
掲載写真:サウジアラビアでの不法労働から解放され帰国できたインド人労働者 Phnom Penh Post掲載