新型コロナ第4波 揺れるベトナムⅠ 1月末北部で集団発生 英国型変異種を確認

ベトナムが新型コロナウイルス第4波で大きく揺れている。

128日突如、保健省が国内のクラスター発生を発表するや瞬く間に北部の州で数十人単位で感染者確認が相次いでいる。27日までベトナムは55日間の市中感染ゼロと報道されていた矢先、それも1日で82人も出てしまった!」と驚きが人々に広がった。ベトナムは対新型コロナ対策で世界に評価された国で人口数や密度ならダントツ1位の国である。日本とは同じ第4波とは規模も感染対策の徹底も大違いで、ベトナムは最初から感染ゼロ、コロナウイルス0を目指した国で、日本のようにある程度、感染放置策で今や神頼みに近いなす術もなく緊急事態宣言に追い込まれた状況とは大きく違う。イギリス型変異種が日本国内で発見された時、「かならずや変異種の感染を抑え込む」と言っていた日本の首相だが、早や変異種の市中感染が確認されている。それも埼玉のクラスター発生のように。これまで両国の感染状況や対策の経緯を知っているにベトナムの第4波の急速な増加、拡大は驚きである。この27日から第4波が始まった。時間を追ってベトナムのコロナ感染状況とその抑制を伝えたい。

きっかけは日本入国ベトナム人の空港検疫でイギリス型変異種の確認

1月17日、ハノイ市ノイバイ国際空港からシンガポールを経由して日本に渡ったベトナム人女性から空港検疫でイギリス型変異種の確認が確認された。この情報に接したベトナム政府当局は密かに情報の真偽と感染者とされた女性の接触者、感染源の追跡調査を始めたようだ。

1月28日には、82名の感染者が確認された

ベトナム北部で新型コロナ集団(クラスター)感染の大量確認は、 まさに第四波襲来である

2月1日の時点で1月28日からの感染者数は242名。5日間で242名まであっという間に増えた。首都ハノイでのクラスター感染発生でもベトナム市民がパニックになることはなく、新型コロナの収束も第一波の時と比較して短期間に出来るようになるだろう、と見ていると。ハノイの駐在日本人は語る。

先ずは128日、2人の新型コロナ市中感染が確認され、1人は日本到着後に変異株確認の感染者と接触歴がある。保健省はこの日、北部紅河デルタ地方ハイズオン省と東北部地方クアンニン省で海外渡航歴のない2人が新型コロナウイルス感染が確認され、ベトナムの56日間市中感染0は終わったことになる。さらに28日だけで総計82名の感染を保健省は発表している。その発見地域と感染者の内訳は、ベトナム北部のハイズオン省(72名)・クアンニン省(10名)で集団感染の発生である。29日には9名、ハイズオン省(4)・クアンニン省(2)・ハイフォン市(1名)バクニン省(1名)ハノイ市(1名)の感染者が確認された。第4波累計者91人となった。

*クアンニン省、ハイズオン省の位置

日本と大きく異な政府のコロナ対策の違いと国民の信頼度

こうした中、ベトナム人一般の受け取り方は、政府の素早い感染拡大防止対応に慣れているベトナムの人々は、「じゃ、学校のイベントは中止だ」「子供が学校へ行くのは休ませよう」「テト旅行は中止だね」「忘年会も中止だ」といった政府の指示でイベント・集会の禁止や娯楽施設の一時閉鎖されるのを先読みし、一気に変わってしまう自分の仕事と生活の今後の予定を考える、という具合で日本人と似ているようであって危機意識は同じように高いが、政府の信頼度では大きく異なる。ベトナム9割以上、日本は多くて3割以下、確かに政府の動きにもたもた、ぐずぐず感はない、これをベトナムは社会主義国だからと片付けるのは間違いだろう。当初、中国の感染状況隠しや感染に当たった医療従事者、感染者家族への圧迫やいったん世界に新型コロナウイルスが広まるや武官封鎖と同時期にあたかも従軍看護婦版特攻隊のように全国からほぼ強制的に送り込まれた映像のような誇大広告やデーター隠しは少なく、ベトナム政府には夜郎自大な姿勢は少なく、コロナ対策の成果を誇張することなく他国との外交でも地味な印象である。それでいて秘めた意思は強い。ベトナム戦争、中越戦争、共に攻め込みながら敗退、撤退するのは大国のほうであった。

ベトナムは東南アジア一人勝ちの経済成長を続ける新興国の一つだが、「コロナが終わったら、また商売を始めよう」という、日本人からするとのんびりしたスタンスの人がほとんどであると駐在員たちは伝える。またビジネスで一旗揚げたいスタートアップ企業の人々も、まずはコロナを収束させないと経済発展出来ないという見解の人がほとんどと思われる。日本の「With コロナ」「経済もコロナ対策も」といったキャッチフレーズなぞ、ベトナムの人からすれば失敗の代名詞で笑止である。ここで第4波の襲来までの歩みを少し振り返ってみよう。

2020年の3つの新型コロナ感染の波

 ベトナムに新型コロナウイルスが初めて確認されたのは、2020114日、日本の感染より早い。

ベトナム中部の観光都市ダナンに、中国武漢からの中国人観光客が新型コロナウィルスを持込み、ベトナムでの新型コロナウイルスの感染拡大が始まった。日本もまた、神奈川県在住の武漢出身の中国人が最初の確認である。実は、そこからが対策の分かれ道である。

第1波(3月~4月末)

期間:4月23日ー7月24日 市中感染ゼロ 99日間 

第2波(7月半ば~8月末)


期間:9月3日ー11月12日 市中感染ゼロ 71日間

第3波(11月半ば~12月初め)

期間:12月7日ー1月27日 市中感染ゼロ 52日間

第4波の収束は早いだろう

第一波→第二波→第三波と新型コロナの襲来の度にその収束させるスピードが速くなる。第一波収束まで105日間かかり、その後の第二波収束に43日間、第三波に24日間かかかる。、第四波は第三波よりも多くの人々が短期間の収束を願っている。
波が来る度に手際よくなっていく、今のベトナムの新型コロナを封じ込む団結力があれば、それも不可能ではないと、ベトナム在住の日本人は語る(ニューズウイーク誌より)。

1月17日、日本で変異株が確認された女性は、北部紅河デルタ地方ハイズオン省チーリン市フンダオ村(a Hung Dao, TP. Chi Linh)在住のベトナム国籍の女性(32歳)。彼女は技能研修性という名の日本への出稼ぎ労働者、渡航前は同省チーリン市のコンホア工業団地で労働者として働き、出国前の新型コロナウイルス検査では陰性の結果だったが。日本到着後の空港検査で陽性反応、イギリス片変異株が確認された。
新たに国内市中感染が確認された一人は感染者(女性・34)ともう一人は感染者(男性・31)2人で、いずれもベトナム国籍である。次の感染者確認は、ハイズオン省チーリン市フンダオ村在住で日本の入国検疫で確認された女性感染者の義理の妹。同感染者と同じ職場でバイクで一緒に通勤していた、という。変異株については検査中で、3日後に結果が出る見通しであった。15日に日本に向かう同女性の送別会に出席し、翌16日は頭痛や寒気の症状があったが、市販薬を服用して出勤。17日には親戚の新築祝いに出かけた。23日午後になって咳や胸の圧迫感、息苦しさの症状が現れ、仕事を休んで病院を受診した。24日午前と26日午後に買い物に行き、他の日も普段通りに出勤していた。が、28日に発表された感染者となった。次は、クアンニン省ハロン市ホンハー街区在住で同省バンドン国際空港の職員。熱や咳、喉の痛みの症状があったため、23日に自主的に病院を受診した。検査の結果、27日に陽性と判明した。
男性は9日に同窓会に参加し、19日にはカンファレンスに出席した後、コンビニエンスストアに入った。21日に空港の忘年会に参加し、22日には会社の会議に出席した後、薬局に立ち寄った。それでこれまでに89人の接触者が確認されている。

直ちに学校休校措置

なお、クアンニン省で市中感染が発生したことを受けて、当局は省内の幼稚園、小中学校、高校、大学を28日から週末まで休校とすることを決めた。また、大人数が集合する活動や不要不急の会議を制限するなど、緊急対策が始まった。

ハイズオン省とクアンニン省で82人が集団感染 ハイズオン省は社会的隔離措置

保健省は28日正午、北部紅河デルタ地方ハイズオン省と東北部地方クアンニン省で集団感染が発生し、新型コロナウイルス陽性患者82人が新たに見つかったと発表するや、第4波の襲来をベトナム国民が知ることとなった。
82人のうち72人がハイズオン省、10人がクアンニン省在住。これに先立ち、28日午前に市中感染によりハイズオン省クアンニン省2人が新型コロナウイルスに感染したことが発表され、うち一人の感染者がベトナムから日本到着後に新型コロナウイルス感染症の変異株が確認された女性と接触があったことがわかる。

地元メディアが「ハノイ:テトのイベント、中止の可能性も、市中感染懸念」を報道

28日、ハノイ市人民委員会は市内の郡・区・町の人民委員会に対し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大し、市内で市中感染の恐れが発生した場合、管轄地域内の実情を踏まえた上で必要に応じてテト(旧正月)に伴うイベントを主体的に中止するよう指導した。
首都:ハノイ市にも近いハイズオン省で大規模な集団感染が発生したことは、ハノイ市にとって大きな脅威となった。

29日 クラスター感染発生でハイフォン:クアンニン省とハイズオン省との交通遮断

北部紅河デルタ地方ハイズオン省と東北部地方クアンニン省で計84人の新型コロナウイルス感染が確認されたことを受けて、両省と隣接する北部紅河デルタ地方ハイフォン市28日午後、オンラインで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防指導委員会の会合を開き、両省間の交通遮断を決定する。さらに29日、保健省は新型コロナ、ハノイなど北部5省・市で新たに9人が市中感染を確認した、と発表。これで累計感染者数は累計1651人となった。

同29日、ホーチミン市 国内のコロナ震源地から訪れる者に21日間の隔離適用

ホーチミン市疾病管理センターはこのほど、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の市中感染が拡大している東北部地方クアンニン省と北部紅河デルタ地方ハイズオン省の感染流行地域からホーチミン市を訪れる者に対する隔離期間を、従来の14日間から21日間に延長することを決定した。
具体的には、ハイズオン省チーリン市(TP Chi Linh)17日から15日の期間に滞在した者、クアンニン省バンドン国際空港17日から21日の期間に利用した者は、自宅または滞在先で21日間の隔離措置を受けなければならない、とのことである。
同日、ベトナムでは、クアンニン省とハイズオン省でそれぞれ1人ずつの新規感染者が確認された。その後、濃厚接触者らを検査した結果、29日朝までに陽性患者の数は109人まとなり、既にクアンニン省とハイズオン省だけでなく、紅河デルタ地方ハイフォン市、同バクニン省ハノイ市まで感染が拡大したことを保健省は確認した。

1日、直ちにハノイ・ホーチミンなど23省・市で学校休校措置、そしてテト休暇を前倒する

ベトナム国内で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の市中感染が拡大していることを受けて、1日午後5時までに国内23省・市の学校が自宅でのオンライン授業への切り替えまたはテト(旧正月)休暇の前倒しを発表した。
このうち、ハノイ市21日から通学なしのオンライン授業に切り替えて対応している。ホーチミン市22日から5日までオンライン授業、6日からテト休暇となる。

2月1日、6省・市で新たに30人が市中感染を確認 初めてハノイで4人の感染者を確認

保健省の1日午後の発表によると、市中感染による新型コロナウイルス感染者30人を確認。また、海外から入国した1人も感接者と判明した。ベトナム国内の新型コロナウイルス感染者数は累計1850人となった。28日以降に確認された集団感染は計270人。
市中感染による新規感染者30人の内訳は、◇北部紅河デルタ地方ハイズオン省17人、◇東北部地方クアンニン省5人、◇ハノイ市4人、◇南中部高原地方ザライ省2人、◇東北部地方バクザン省1人、◇東南部地方ビンズオン省1人である。この時期、増加と拡大傾向は止まらない。

<続く「新型コロナ第4波 揺れるベトナムⅡ テト(ベトナム正月)を直撃」へ>

*掲載写真:ホーチミン市のタンソンニャット国際空港で新型コロナ(COVID-19)検査でサンプルを採取するホーチミン市の医療従事者 画像:vietnamnews.vnより。

*上掲記事:ベトナム在住の知人たちの協力に得て記事として投稿したものです。

 

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