カンボジア政府は中国大使館に対し、カンボジアをオンライン詐欺の中心地として描いた中国映画『No More Bets』の上映中止への中国政府の介入と支援を要請したという。
カンボジア政府が問題にしている同映画はカンボジア、ミャンマー、タイでの誘拐やオンライン詐欺の現場を描いているため、過去数週間にわたりカンボジア国民がソーシャルメディア(SNS)に苦情を投稿していた。ソーシャルメディアでシェアされた投稿によれば、観光業とカンボジアの尊厳に深刻な影響を与えているという。
人々はカンボジア政府に対し、この映画に対してできるだけ早く措置を講じるよう求めている。
文化芸術省:スム・マブ報道官は9月27日、カンボジア政府がプノンペンの中国大使館と協議し、中国での『ノー・モア・ベッツ』の上映中止を要請したと述べた。
「この問題に関しては数日以内に回答があるでしょう。このことを私たちに知らせ、国の尊厳を気にかけてくれた国民に感謝したい」と述べた。また同氏は、地元メディアとのインタビューで、同省はこの映画がカンボジアの尊厳に重大な悪影響を及ぼしていることを認識しており、現在は理解していると述べた。
カンボジア政府はこの映画が中国製であるという理由で上映を中止することはできない。しかし同省は、ネガティブな内容が描かれているため、カンボジア国内の映画館でこの映画を上映することを避けるよう全国のすべての関係者に指示したと同氏は述べた。
この映画は、中国犯罪シンジケートによって海外で人身売買され、オンライン詐欺で働かされる人々の物語を記録しています。レイ・チャン、ジーナ・ジン、ヨンメイ、エリック・ワンが出演しています。
同映画は今年8月8日に中国で初上映され、興行的には成功を収めた。
プログラマーのパン・シェンとモデルのリャン・アンナは、高収入の仕事を約束してシンジケートに海外に誘われる。しかし、雇用の約束が悪夢に変わるというストーリーです。
文化省、上映中止は要請したが…
要は、中国映画であっても、カンボジアにとって不都合なことは、カンボジア国内で上映させたくないということである。そのために、SNS上のカンボジア人のコメントを援用しているに過ぎない。カンボジア国内の映画観に統制は効いても国外には通用しないと認識しているようであるが、文化省は一応、中国大使館に要請したということである。それでSNS上の映画批判を慰撫しようとしているようだが、「藪蛇」の懸念があろう。
実際、カンボジアが人身売買やオンライン詐欺拠点の一つであることは、国内メディアのニュースからも明らかであるし、多くの国で放映されている中東・アルジャジーラTV局のドキュメンタリー(ここには、中国マフィアやカンボジアの大物上院議員の名前等)が明らかになっている)は今年4月にNHKでも放映されているが、カンボジア人のほとんどこのドキュメンタリー番組を観ていないに過ぎないことを物語っている。そのため、このドキュメンタリーの内容は政府や国内メディアでも問題となっていない。
掲載写真:中国映画「No More Bets」のシーン Khmer Times