このニュース、日本でも報道された事件の記事を元にしています。
ベトナム中西部のダクラク省で二つの行政庁舎が武装グループに襲撃される事件があり、公安省は12日午前までに26人を逮捕したと発表した。また逮捕に際してライフル銃なども押収したという。当局関係者の話では、少なくとも計8人が死亡した。
ライフルなどで武装した2つのグループが、ダクラク省クークイン郡のエアティエウ村(xa Ea Tieu)とエアクトゥル村(xa Ea Ktur)にある共産党委員会や人民評議会、人民委員会の庁舎を併設した施設を同時に襲撃した事件で、ベトナム社会に衝撃を与えている。」公然と武器をもったグループが行政庁舎を襲撃し、死者まで出た近年にない反乱に等しい事件です。
元来ベトナムでは個人の銃所持は禁止で、行政施設を狙った銃撃は異例中の異例で、多数の死傷者も出ており、国内に衝撃が走っている。
当初、公安省や国営メディアは当初、警察署が襲撃を受けたと発表していたが、12日、「地方行政を担う人民委員会の庁舎」に襲撃された場所情報を訂正した。
公安省によると、バトナム中南部ダクラク省で11日早朝、銃を所持したグループが二つの庁舎で発砲した。当局関係者によると、この事件では20代~40代の警察官4人が死亡し、2人が負傷した。自治体職員や民間人も巻き込まれたとしているが、全体の死傷者数は公表していない。襲撃したのは迷彩服を着た約30人の集団だったといわれており、警察は他にも逃走中の容疑者がいるとみて捜査している。また襲撃後、市民3人が人質になっていたが、2人を救出し、1人は自力で脱出したという。
共産党による一党独裁体制のベトナムは近年、治安が比較的安定しているとされ、大規模な銃撃事件は稀であり、行政施設が狙われたケースでは、2018年に最大都市ホーチミン市の警察署に爆弾が投げ込まれ、2人が負傷する事件があった。この事件、テロの罪などで20人が禁錮2~24年の判決を受けた。事件の発端は、土地の権利をめぐるトラブルだったとされている。
なお、13日現在では、ダクラク省庁舎襲撃事件で逮捕者は39人となっている。
一党独裁の強力な警察国家でもあるベトナムでの今回の庁舎武装襲撃事件は、ベトナム社会に大きな衝撃を与えたのは確かなことである。
原則出版物、放送などのメディアは検閲され、許可なく銃器携帯厳禁の国で、このようなベトナム公権力への公然たる襲撃事件は、驚きの反乱事件である。
*下記の地図をご参照ください。カンボジアに隣接するベトナム中西部の省です。かつて山岳部民族のベトナム政府に対抗する独立運動があったが、近年その活動はほとんど解体、逼塞(ひっそく)していた。
掲載写真:ダクラク省の省都バンメート