遂に日本大使館より、在カンボジア日本人向けに本サイトが先週立て続けに報じた中国系マフィアによるオンライン就職詐欺や人身売買、強瀬労働などについての注意喚起を発しました。日本大使館から注意喚起が出るということは、被害当事国だけでなく欧米各国などからも在カンボジアに自国民に対しても注意勧告を出していることでしょう。何事も慎重な日本姿勢は、特に欧米各国の動きを見ながら遅ればせながら対応するのが常であることは読者の皆さんにはご存じの事と思います。昔から大使館を通じて出される安全情報を「アリバイ情報」と揶揄する人もいます。被害にあっても具体的にできることは限られている、というのが大使館・領事班の常です。
*中国系マフィアとの記述:大陸中国出自のマフィアが主流ですが、香港マフィア、台湾マフィアがオンラインを使った詐欺組織のためです。カンボジアと次にマフィアが拠点化を狙っているのが、ミャンマーです。ミャンマーは現在内戦状態にあり、孤立化深める軍部政権はマフィアと裏取引きで結びつく可能性は十分にあります。
8月26日、日本大使館は在カンボジア日本人に次のような注意勧告のメールを配信しました。このメール、原則在留届を出した方のみに配信されています。「そんなの知らない」という方は、日本大使館に出向き直ちに在留届を出してください。
「権利の上に眠る者は法はこれを保護せず」(イェーリングの「権利ための闘争」)
というのは、ご存じの方も多いと思いますが、欧米においては常識に近く、日本の大学の一般教養講座(法学、政治学)では入門・基本書になっています。
さて、日本大使館から注意喚起の配信メールは次のようなものです。
『就労斡旋を騙り不法行為や強制労働に従事させる監禁事案に関する注意喚起』
最近、カンボジアにて好条件の仕事があるなどとして外国で希望者を勧誘し、カンボジアに到着した直後に旅券や連絡手段を取り上げ自由な外出を制限するなど監禁状態に置いた上で、当初約束していた活動とは異なる不法行為に従事させたり本人の意思に反して労働を強いるような事案が発生しており、少数ですが邦人の被害事例も報告されています。
様々な被害事例がありますが、概ね共通している特徴は以下のとおりです。
・居住国(日本を含む外国)にて知人や親族(外国人の場合もあれば本国(日本であれば日本人)の国籍者の場合もある)から、カンボジアで条件のいい短期(数週間から数ヶ月)の仕事があると紹介される。
・報酬が示される場合は月額数千ドル程度で、「仕事」の内容は簡単な翻訳作業や事務作業など専門性が低く負担の軽いものと説明されるが詳細な説明はほとんど無い。
・渡航費用や現地滞在費は全て雇用主負担で、査証などの事務手続きも全て雇用主が行う。
・滞在先として高級ホテルを用意したり、移動手段として高級車をあてがうと約束する場合がある。
・カンボジア到着直後に旅券やパスポートを監視役に取り上げられ、行き先も告げられないまま監視付きの施設に移される。
・本国から「案内役」が同行する場合がある
・滞在先の施設では、振り込め詐欺などに悪用されると思しき内容の文章の確認等を強要され、外出や外部との接触が制限される。
カンボジアでは以前より国内外の犯罪組織による不法な活動が問題となっていましたが、法制度が未発達で汚職も蔓延しているともされており、当局による取り締まりが十分ではなく、こうした不法行為に巻き込まれた場合には解決が容易でないこともあります。
*要は、警察などの治安組織の能力に信頼を置けない、治安組織や入管などの組織が汚職まみれでマフィアと癒着している。
つきましては、特に知人等からの紹介を受けてカンボジアでの就労を検討・予定されている場合は、上記のような情勢を理解し、安易に勧誘に同意することなく、勤務先が信用に足りるものか、安全が確保されているものか等につきご自身でよく確認し、確認できない場合は渡航を取りやめることも視野に入れて慎重に判断して下さい(大使館では個々の就労先や就労事案の安全性や信憑性について判断できません。)。
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在カンボジア日本国大使館 領事班
TEL: 023-217-161
https://www.kh.emb-japan.go.jp
以上です。
既に日本では共同通信や読売等のメディアが先週報じており、ABEMAニュースでも大きく報道されています(ただABEMAニュースは、テレビではマイナーであり、ネット配信に力を入れいます。ネットのYouTubeではドギツイ言葉のサンプル画像で電車の週刊誌広告のようですが、既にこの問題は国際問題化しており、カンボジア政府もその対応に追われています。)
掲載写真:イメージ