中国問題Ⅰ 売られる花嫁たちー人身売買、虐待、強制労働ー

カンボジアで中国の政治・経済的な進出が強まるとともにカンボジアにも「中国問題」というのが社会に影響してきている。こうした動きは、当の中国も認識していることで、在カンボジア中国大使館も在カンボジアの中国人に警告を発している。元来、東南アジアには珍しく歴史的に反中国感情の少ないカンボジアであるが、ここ何年かの中国人の犯罪、麻薬事件や横暴な態度、そして売られる花嫁への虐待などの問題が相次ぎ、カンボジアの<中国問題>とも名付けられるような事態になってきている。カンボジア政府の親中一辺倒の姿勢も、こうした国民世論の動きを反映してか、最近は特に中立政策に維持に腐心し、中国とも一定の距離を取るようになってきている。

本サイトでは、中国問題というシリーズでカンボジア庶民に身近な社会的な問題を取り上げていきたい。

売られる花嫁たち、中国人との結婚斡旋ブローカーの暗躍ー人身売買仲介ー

強制結婚または手続きに従った結婚のためにカンボジアから中国に向かう女性の数は、2016年以降急増し、COVID-19パンデミックの開始以来さらに急増した。一方に中国の一人っ子政策の結果による成人男性の結婚難がある。

中国人男性との法的な結婚をしている多くのカンボジア人女性たちは、元々合意に達しているかどうかにかかわらず、遠隔地や虐待的な状況に身を置いている例が多いとの報告が出ている。

伝えられるところによると、1979年から2015年の間に施行された中国の一人っ子政策は、娘ではなく息子を求める家族による性別選択的中絶につながり、中国に重大なジェンダーの不均衡を生み出した。特に農村部での中国人男性の妻探しに駆り立てられて、カンボジア、ラオス、ベトナム、ネパール、北朝鮮、パキスタン、ミャンマーからの何千人もの女性が中国に向かい結婚しました。だが、実態は結婚することを知って向かう人もいれば、騙されて向かう人も多数いるという。

多くのカンボジア妻たちが、暴力、性的虐待、強制労働に苦しんでいるという。

カンボジアの女性や少女は、さまざまな手段を通じて強制された結婚を余儀なくされています。中国での仕事をだまされた人もいる。他の人は、高給の仕事の資格を得るために結婚証明書が必要であると言われて(事実は、必要ない)結婚する。一部の人々は、家族、親戚、知人によって、一時金や中国での良い結婚とより良い生活の約束のために騙されて売られています。

要は、中国人と結婚した多くのカンボジア女性が彼女の家族ぐるみでので人身売買に当たる例が多い。初めは台湾人、次に韓国人、そして今では中国人の結婚ブロカーがカンボジアに暗躍している。かつて韓国で問題になった儒教的家族観になじめないカンボジア人妻への夫からの暴力があったが、中国の場合、結婚できない男性の急増、特に農村部では労働力確保もあって女手を必要とする封建的な家族観ーだからますます同胞中国人女性は嫌がるーから、カンボジアが貧しいは故に身売り同然で結婚し、中国で性的搾取や強制労働に陥るものが多い。この問題は多くの途上国が経験した道であるが、中国人の大量流入によってこの問題はさらに深刻な一途をたどるだろう、と懸念されている。

掲載写真:イメージ

 

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