米国 「カンボジア勧告」で汚職と人権に厳しい指摘、米国企業にリスク喚起

米国の国務省(「DOS」)、財務省および商務省は11月10日、「カンボジアで主要セクター内または高リスク事業体とのパートナーシップで事業を行う米国企業および組織のための考慮事項」というタイトルの勧告 (所謂「カンボジア勧告」)を発表した。

既に11月10日に発表された勧告がKhmer Timesの報道で12月19日になって何故に1か月遅れになっているのか、大きな疑問がある。

こうした米国による国別への勧告は日本にもなされており、その詳細と明確な指摘は日本では自ら国の弱点として大きな話題となり、その後の日本政府の政策に活かされている。

米国企業の進出で大きな問題は汚職と汚職に積極的に関わる外国企業の問題

カンボジア担当のアドバイザリーによると、カンボジアでの米国企業(カンボジアで現在事業を行っている、または事業を検討している企業)に焦点を当てており、人権侵害、犯罪活動、および腐敗した商慣行を挙げ、汚職と責任ある調達リスクに大きく触れている。

彼によれば、カンボジアの横行する汚職問題が大きな問題であるという。汚職行為に積極的に関与する投資家からの外国投資の増加は、不透明な公式および非公式の投資プロセスと相まって、汚職の全体的な増加をさらに促進していると述べている。

先月末の11月21日夜放映のNHKスペシャル「広がる“中国化” 一帯一路の光と影」では、中国政府肝いりの中国メディアが誕生プレゼントと称してカンボジアの情報省高官に金品を入れたと思われる封筒が渡され、早速それがために中国=カンボジア友好プロパガンダ撮影が警察の制止を振り切ってロックダウン下のプノンペンで撮影がごり押しされた件の映像が放映されている。

*下の記事を参考

同アドバイザリーによれば、過去数年間のカンボジアの金融、不動産、カジノ、およびインフラストラクチャーセクターの著しい成長のために、これらのセクターの企業は特に腐敗を経験する可能性が高いと言われている。

カンボジア勧告では、違法伐採や野生生物の売買などの保護犯罪にも触れる

また米国によるカンボジアへ勧告には、違法伐採や野生生物の売買などの保護犯罪の増加により、伐採、動物関連製品、およびその他の関連産業の事業運営についても警告している。カンボジアは、2020年の野生生物の売買の排除、中和、混乱に関する法律報告書の下で懸念国として特定されいる。これは、取引された野生生物、野生生物、象牙などの木材製品の主要な出所、通過地、目的地であるためであるといわれている。

同アドバイザーは、上記のリスクを考慮して、同アドバイザリーは、カンボジアで事業を行う企業は、以下の法律、規制、および公式のガイダンスリソースに留意することを提案する助言し、下記の項目を留意するように挙げている。

  • 銀行秘密法(金融機関にのみ適用)。
  • FinCENの規制、勧告、およびガイダンス(金融機関にのみ適用可能)。
  • サプライチェーンにおける強制労働に固有のデューデリジェンス措置に関する情報を提供する労働省のComplyChainツール。
  • DOSの責任ある調達ツール。これには、人身売買または人身売買関連の慣行のリスクがある11の主要セクターと43の商品、および10のリスク管理ツールの詳細な調査が含まれます。
  • 司法省人身売買検察局によって提起された執行措置。

また、金融活動タスクフォースによって発行された、保全犯罪、汚職、麻薬密売、人権侵害、およびマネーロンダリングの間の関連について報告にも大きな関心をしめすように促している。

Khmer Timesの1か月遅れの報道の不自然さ

政府の広報活動を一手引く受けている感のあるKhmer Rimesがカンボジアにとっては不名誉な米国の「カンボジア勧告」を1か月遅れ(同メディアの日付に誤りがなければ)とはいえ、敢えて報道しているのは政府内の暗闘の反映であろうか。

既に紹介した11月21日夜放映のNHKスペシャル「広がる“中国化” 一帯一路の光と影」の映像に見られた内務省管轄の警察の制止を振り切った中国メディアの撮影では情報省が横槍を入れて強行させている。

また米国の「カンボジア勧告」は日本企業に対しても他山の石とすべき内容である。かつて海外進出する大手日本企業の多くが汚職行為に積極的に関与する投資家からの外国投資であると欧米から名指しで非難された過去がある。

掲載写真:イメージ 画像:Khmer Timesより

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