首相が日本の特使を歓迎 同一人物、個人資格でミャンマーの軍上層部と会談

カンボジア国内報道では、特使の逸脱か、派遣の意味不明

フン・セン首相は昨日、笹川陽平日本政府特使兼日本財団会長を平和宮殿(閣僚評議会ビル)で迎えた。

カンボジア首相補佐のEang Sophallethによれば、「笹川陽平氏はカンボジアの急速な発展を称賛し、それはフンセンの賢明なリーダーシップを反映している」、「同特使はまた、今年1月初旬にフンセンがミャンマーを訪問したことを高く評価し、鍵のかかったドアを開けてミャンマーの人々に希望を与えるのに役立った」と述べたという。常識的に外交辞令を誇大に報道しているようであるが、後半の発言が本当なら日本政府が対外的に表明している立場とは異なり、あくまでカンボジア側の見解に過ぎないと読み解ける。

また報道では、笹川氏はカンボジアでのエクシード・オーガニサトンの活動、特に学生に義肢を作ることを教えることにおいて首相に述べ、そのために首相にミャンマーの学生が彼らのカンボジアの対応者から技術を学ぶためにカンボジアに来ることを許可するように要求したという。これもまた、奇妙な事で「日本政府の立場」を逸脱しているかに見える。そうした話があったとしても、それはカンボジア国内報道(特に政府系のKhmer Times)で記載の日本政府の特使以外の肩書に触れていたに過ぎない。もし特使としての立場利用なら問題である。

また肝心のミャンマー国民がどう受け取るかはもっと大きな問題で、義足が必要な非合法なミャンマー軍の残忍な弾圧には触れていない。笹川氏の見解を聞きたいところだが、彼が日本政府の特使としてカンボジアに派遣されたというニュース自体、日本国内ではほとんど知られていない。

いずれにせよ、「フン・セン首相は(笹川氏の個人事業の)要請を歓迎し、カンボジアにとって名誉であると強調した」とKhmer Timesは報じた。

カンボジアの報道では、あたかもフンセン首相のミャンマー外交をヨイショするための来たといった報道であるが、シンガポール、マレーシアなどから厳しい反発が出たことを考えれば、それに後足で日本政府が公然とカンボジアに肩入れし、砂をかけるような行為をしたとは、考えにくい

いったい笹川氏は何のために日本政府の特使になったのか、また何のために来たのか」、カンボジアの国内報道では全く触れていない。寡聞にして日本での報道にも気づいていない。

笹川氏、キャンマー訪問で軍のトップに会って国民から反発

日本政府は個人資格の訪問で関知せず!?

カンボジア国内報道では、笹川氏が代表を務めるNPO日本財団会長がカンボジアでの活動を以前にも報じているが、イオンの植林事業と同程度のものである。1月のミャンマー訪問も非合法なクーデターで他国を出し抜くような行動であってミャンマー軍の上層部と個人的なつながりがあるということを理由にしていたが、公式に日本政府は彼個人の行動で政府の立場で無関係という。当然、フンセン首相のミャンマー外交同様にミャンマー国民は反発している。

その人物がいつのまにか日本政府の特使となってカンボジア訪問というのは、当然、ミャンマー国民や欧米からも疑惑の目で見られている。日本政府は、表向きはミャンマーの軍を非難だが、裏で通じているんじゃないか、と。

2月24日からのロシアのウクライナ侵攻はやがて中国に痛しかゆしになるが、ミャンマーの軍の非合法政権はこれで世界の眼が避けられると喜んでいるに違いない。ミャンマーではここ1年、民間人虐殺が日常的に行われている。秩序維持の名で。

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