米英、「歴史上最大の金融詐欺」というカンボジア拠点の犯罪組織に制裁、150億ドル相当のビットコイン押収

「歴史上最大の金融詐欺」と呼ばれるカンボジアを拠点する国際詐欺の犯罪の背後には、38歳の陳志氏とカンボジアのプリンスグループ(太子集団)がいると指摘されている。米当局は陳氏の保有する約140億ドル(約2兆14000億円)相当のビットコインを押収し、英国、香港、シンガポールなどの地域で相次いで制裁対象に指定した。

米国と英国の政府が、カンボジアを拠点に国際的なオンライン詐欺犯罪を行った一味に制裁措置を科した。

カンボジアを拠点に活動する詐欺組織が韓国人を誘い込み、犯罪に加担させたうえで拷問や殺人を行っていた実態が明るみに出たなかで、米英両国はこれらの組織を早い段階から注視していたということである。

米英両政府は10月14日(現地時間)、カンボジアを拠点とする「プリンス・グループ」とその会長・陳志(Chen Zhi)、および犯罪収益を資金洗浄した「フイワン・グループ」に対して制裁措置を科した。

米司法省は、逃走中の陳志をオンライン金融詐欺および資金洗浄の容疑で起訴し、彼が保有する約150億ドル(2兆2650億円)相当のビットコイン12万7271個を没収するための訴訟を裁判所に提起した。

これは米司法省による押収ビットコインのうち過去最大規模だという。また、米財務省は、フイワン・グループが2011年8月から今年1月までに少なくとも40億ドルの不正資金を洗浄したと明らかにした。

このうち3700万ドルは、北朝鮮がハッキングで盗んだ仮想通貨を洗浄したものだとされる。

英国政府は、プリンス・グループの子会社が建設した「ゴールデン・フォーチュン・リゾート・ワールド(Golden Fortune Resorts World)」が大規模詐欺団地の背後にあると指摘した。

2015年に設立したプリンスグループはカンボジア最大の企業グループの一つで、現在30カ国以上で不動産・金融サービス・消費財など幅広い事業を展開している。

陳氏のオンライン詐欺は、世界中にその魔手を伸ばしている。米検察によれば、陳氏と共同経営者は、いわゆる「ロマンス詐欺」と呼ばれる恋愛を口実とした詐欺手法を通じて、世界各地の人々から数十億ドルを騙し取った。

米司法省の起訴状によると、プリンスグループはカンボジア国内に少なくとも10の詐欺拠点を運営し、そこで働く労働者の大半は強制的に抑留された移民だった。彼らはSNSやオンラインメッセンジャーを通じて数千人の被害者に接近し、「暗号通貨投資で高収益を得られる」と騙して送金を誘導した。

カンボジア詐欺拠点の黒幕と起訴され、逃走中の陳志(Chen Zhi)

 

陳氏は中国出身で、カンボジア・バヌアツ・キプロスの三重国籍を持つ。シンガポールメディア「聯合早報」によると、陳氏は有罪判決を受けた場合、最大で懲役40年の刑に処される可能性があると伝えている。

なお、この制裁は日経新聞(有料版)でも大きく報道されている。

掲載写真:逮捕された韓国人学生を拷問殺害した中国人実行犯(Khmer Times)  陳志(Chen Zhi) 中央日報(韓国)

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