米国 カンボジアと関係のある元マカオのマフィアのボスを制裁対象
Media surround the car as Wan Kuok-koi (C) is driven away from the Macau prison by two unidentified men on December 1, 2012. The release from jail of Wan, a triad boss known as Broken Tooth, is fuelling speculation that the Chinese gambling playground of Macau could be on the verge of a return to the vicious gang violence of its colonial past. AFP PHOTO / LAURENT FIEVET (Photo by LAURENT FIEVET / AFP)

このほど、米国大使館のプレスリリースによると、「米国財務省外国資産管理局は9日(水曜日)に、カンボジアと強いつながりを持つマカオ出身の元トライアドリーダーであるワン・クオクコイに対して制裁を課した。」と発表した。

世界香港歴史文化協会(WHHCA)はマカオ・マフィアのフロント組織

Broken Toothの名で知られたワン(Wan)は、世界香港歴史文化協会(WHHCA)を所有しており、暗号通貨に関連する違法な活動を実行することを目的としたビジネスネットワークを確立するために使用される合法隠れ蓑の組織(フロント組織)で設立し、中国の一帯一路路線に呼応した不動産およびセキュリティ会社である。同協会は「マレーシアとカンボジアでエリートの人物を採用した」とも米国は発表している。

ワンは2018年にカンボジアに世界香港歴史文化協会(WHHCA)本社を開設し、その間にゲームの暗号通貨も開始されたという。アルジャジーラの報告によると、2人のカンボジア政府高官がプノンペンの本部の開会式に出席した

*アルジャジーラアラビア語الجزيرة‎、「アルジャジーラ衛星チャンネル」、قناة الجزيرة الفضائية‎)は、アラビア語英語ニュース等を24時間放送している衛星テレビ局。本社はカタールドーにある。タグラインは、「一つの意見があれば、もう一つの意見がある(the one opinion and the other opinion)」ーWikipediaの記述ー

*プレスリリースのアルジャジーラという名のテレビ局が出てくるが、日本人には中東でのテロ等の事件で知られているが、米国を情報源としたニュースを流していることが解る。これは、米国からの「マカオのマフィアがカンボジア政府に喰い込んでいる」事実へのある種の警告と考えられる。

上記のプレスリリースによれば、「WHHCAは東南アジア全体に広がり、暗号通貨、不動産、そして最近ではBRI(一帯一路)投資の保護を専門とするセキュリティ会社の開発と立ち上げに関与する強力なビジネスネットワークを確立している。」なお、開会式後にマカオニュース:エージェンシーの記事によれば、ワンが「カンボジアに中国の文化的な町を建設するためにブロックチェーン技術を使用する」と述べたという。

またアルジャジーラの報道によると、ワンは2019年10月にカンボジアに戻ってビール会社を立ち上げ、その開所式にもカンボジアの当局者が出席していました。

シハヌークビル発オンラインギャンブルを支配、現在は非合法

10日付米国大使館のFacebookの投稿でも「2019年にオンラインギャンブルが非合法化される前に、ワンはシアヌークビルに強い影響力を持っていた」と述べ、ワンは「他の犯罪者と緊密に協力して、シアヌークビルでの違法なオンラインギャンブルを促進し、その結果、暴力犯罪が蔓延し、数十億ドルの詐欺や汚職が発生しました。カンボジア政府が2019年8月にオンラインギャンブルを賢明に禁止して以来、ワン・クオクコイはミャンマーなどの新しい目的地でカンボジアの成功を再現しようと努めてきました。」

中国の一路一帯路線は、先ずは香港・マカオマフィアによってなされた

米国大使館のプレスリリースでは、ワンは「麻薬密売、違法賭博、ゆすり、人身売買、その他のさまざまな犯罪活動」に参加していることで知られる強力な中国組織犯罪組織である14k・triad(三合会の一つ)の元リーダーで、ワンはマカオでのギャング間の争いでで14年間刑務所で過ごし、2012年に釈放されている。ワンの影響は、ミャンマー、香港、オセアニアの島であるパラオに広がっており、香港の東明グループとパラオのパラオ中国フンムン文化協会もワンによって所有または管理されている」と触れている。皮肉にも中国の一路一帯路線は、先ずは香港・マカオマフィアによってなされた。

triad(トライアド):直訳では3つ組, 3人組, 三幅対.などと訳されるが、米国大使館のプレスリリースでは、香港の民主化運動で知られた悪名高き香港・マカオのマフィア「三合会」を指している。

三合会(サムハプウイ)は、香港を拠点とする幾数かの犯罪組織を総称する呼名である。地下社会や裏社会などという抽象的な意味の言葉ではなく(これらを表す現地の言葉としては黒社会が適当なものである)、実体をもつ犯罪組織のネットワークを指していう、結社という意味を表すものと解釈できる。英語圏においては Triad(トライアド)や Triad Society と呼ばれている。秘密結社的な性格を強く帯びるという特色もあってか、その実態については断片的にしか知られておらず、全体像はほとんど明らかでない。諸流派としてこれを構成する組織のうち、香港で活動するものは、現在57程が存在すると目され、それらの組織は成員を50人程度とするものもあれば、3万人以上の成員を数えるものも存在するとされている。そのうちの有名なものとしては 14K、潮幇(新義安の上部組織)、和字頭(和勝和の上部組織)などが挙げられる。-Wikipedia記述よりー

米国はワンを14K・triadの元リーダーであると見ている。この点、中国政府とも一致している。

掲載写真:マカオ・マフィアの元リーダー(14年間服役)ワン・クオクコイ 写真:地元メディア掲載のAFP画像より

 

 

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