国民選挙委員会 (NEC) は昨日、来年の国政選挙 (NE) が「自由かつ公正」に実施されることを保証したが、日本は選挙がカンボジア国民の「多様な声を反映する」ことを望んでいる。ただし、NEC の広報担当者によると、日本は次の選挙の選挙プロセスをサポートするための資金や追加資料をまだ発表していないと、政府広報系Khmer Timesが10日に報じた。
NEC の反応は、林義正外務大臣の「日本はカンボジアの民主的発展を支援してきた」という声明への反応である。これは、先週プノンペンで開催された第 55 回 ASEAN 外相会議 (AMM) および関連会議の傍らで、プラク ソコン外相との二国間会談で行われたものです。
この報道記事、「国民選挙委員会 (NEC) は昨日、来年の国政選挙 (NE) が「自由かつ公正」」と言っても、政権べったりのNECの言明するまやかしの「自由かつ公正」選挙そのものに、簡単に「はい、そうです」とは言えないと留保したということである。さらにNECの言う「日本は次の選挙の選挙プロセスをサポートするための資金や追加資料をまだ発表していない」とは、日本は選挙実施に関する資金援助やその他人員派遣等については何もまだい言っておらず、といったおねだりである。
「彼は、来年7月のカンボジア総選挙がカンボジア国民の多様な声を反映する形で実施されることへの希望を表明した」と日本の外務省は公式Webサイトで述べている。
8月5日夜のオンライン記者会見で、日本の外務省の報道次官である塚本康弘氏は、林外相がカンボジアのカウンターパートと共に「カンボジアの民主主義の進歩」を提起したと述べている。
そこでKhmer Timesは、与党カンボジア人民党(CPP)が一般投票の74%を獲得して地滑り的勝利を収めた6月5日のコミューン選挙の結果について尋ねられたとき、安弘氏はコメントしなかった、と報じ、塚本康弘氏は「来年(国政選挙)に向けて、まだ1年あるので、将来を判断したくありません」、「しかし、7月の選挙でカンボジア国民の多数派が選出されることを願っています。」と触れるにとどまっている。
カンボジアでは選挙が行われているが、国内メディアはロシア、中国並みの独立系メディアは皆無、選挙報道は一方的な与党寄り報道、選挙前の野党スキャンダルの摘発と、選挙の実態がいかなるものかは、内外ではよく知られた事実上の一党独裁国家である。いわゆる開発独裁国家と権威主義国家と言われている。カンボジアでは子供ですら首相に批判的な事を言うと、「これですよと手で首をカットするゼスチャーをする。」そのことを知ったうえで下記の国民選挙委員会 (NEC)の発言を読めば、何をか、言わんである。
NEC ・報道官: Hang Puthea 氏は9日、「日本政府高官の見解は、特にカンボジアの選挙プロセスにおいて、カンボジア国民への支援の精神に反映されている」と述べた。
日本政府は懸念は表明しても、いつだって現状や結果追認しお金もしっかり出してくれるのだから、カンボジア政府は、いつものことだと安心している。そこが、米国と日本のスタンスに違いである。カンボジアは米国から手厳しい批判に国内向けで露骨に反発する。
ミャンマー軍事政権とて、状況が軍部に都合よくなれば日本は結局、お金も人も出し、日本政府の意向に忖度する企業が戻って来るとタカを喰っている感がある。なお、「日本ミャンマー協会」(会長は元国会議員)の露骨な親軍事政権寄りの姿勢に対し、グローバル化した日本の有力大企業はミャンマー撤退をいち早く決断し、さらには同協会からも相次いで脱退している。この点、企業は自らの経営戦略に損得から日本政府よりもいち早く決断している。
掲載画像:Khmer Times ASEAN会議での林外相とソコン外務大臣