日々、不法越境の出稼ぎ労働者がタイから強制送還される

2022年1月24日 2022年1月24日

タイでの出稼ぎ労働のために地元の越境ブローカーに支払いをしたカンボジアの出稼ぎ労働者は、タイにブローカーの案内で越境した後、タイ側で捕まりタイ当局によって毎日強制送還されている。

越境ブローカーは引き連れたカンボジア人出稼ぎ労働者を国境を越えるや彼らを置き去りにし、カンボジアに戻ったという。

政府系メディア：Khmer Timesは「出稼ぎ労働者はブローカーに騙されている」と書くが、双方とも暗黙の同意であろう。またそれにふさわしいブローカー支払い値段だから、「出稼ぎ労働者はタイで稼げば何とかなる」と思っている節がある。それは、

・不法越境と知りながら、なぜ後を絶たないか、タイからすればいい迷惑だが、その実タイ人すらしたくない労働が安価にカンボジア人で済むタイ側農園等、公共事業等で需要があるからだ。

・もう一つ、おそらくカンボジア人出稼ぎ労働者には、正規に越境して仕事に就く道は表向きあっても、事実上は「ない」のであろう。それはカンボジア側の腐敗であろう。正規に出稼ぎしたくても、事実上はブローカーに支払う異常のお金がかかり、無駄な日数と手間がかかるのだろう。なぜなら、ブローカーを利用するような農民たち出自の出稼ぎ労働者たちの多くは「読み書きができない」、所謂「文盲（もんもう）」であろう。

カンボジア政府の統計では、Wikipediaに「カンボジア - 77.2%（男性84.5%、女性70.5%）(2015年）」とあるが、これを日本人でそのまま信用するならば、単に無知に過ぎない。

カンボジアの場合、本人の自己申告であって「書ける」といっても、「名前と出自の村」程度は農村出自の者たちはにザラにいる。プノンペン都を囲むカンダール州でも国道から少し離れれば、注意して見ると、村に学校があっても６年生まで教室のない学校がある（つまり学校自体が6年制ではない）。またプノンペンの人口2,129,371人（2019年）とあるが、実際は350万人以上であろう。国政調査も書類上の数合わせ、田舎出自でプノンペンに居住している者は田舎の人口に入れられている。よほどまともな職業でなければ、IDカード不所持でも多くが働いている。こうした人たちの多くは事実上の「文盲」である。プノンペンでは「文盲」となると普通のレストラン、カフェでも働けない。

タイへ出稼ぎに行く農民出自の労働者は全国からであるが、タイ国境近くの州では密出国が跡を絶たない。それはカンボジアの事実上の「文盲」という教育レバルの低さとあらゆるところに浸み込んでいる腐敗、住民サービスが公務員のお仕事なんて思っているカンボジア人公務員が何人いるであろうか。サービスは余分な仕事であるから金銭を様々な理由で徴収するのである。コロナ禍で先ず現れたのが公共機関でのお金のタカリである。

例えば、公共機関の代表郵便局であるプノンペンの中央郵便局、連絡も配達もなく小包は保管料の名目で取っていたが、昨年からコロナ禍で実入りが少なく、新手の詐欺を考え付いた。50㌦以上の中身の荷物なら50㌦徴収、「あり得ない！」と猛然と抗議したら、曖昧になった。だが、カンボジア人は「文盲」でなくとも、こうした目に公共機関から日常的に有っているのだろう。まして「文盲」に等しい人々は越境ブローカーになけなしのお金を払っても正規よりはお金も時間も安く済むのだろう。実にカンボジア人農民の遵法意識以前の問題である。