新型コロナ第4波 揺れるベトナムⅡ テト(ベトナム正月)を直撃 

「新型コロナ第4波 揺れるベトナムⅠに続く第2弾だが、2月1日から10日にかけて感染状況を現地メディア報道を見るに感染者数は増大するものの地域的な拡がりは意外に限定である。それでもテト(ベトナム正月)休暇に入るにあたって、休校措置や移動制限もクラスター発生の感染地域で厳しいものの第2波や第3波と比べて限定的であるといえる。2月1日からの感染状況とそれに対する行政措置の動きを追ってみよう。

*テト(ベトナム正月、今年は11日~13日、中国の春節にあたる)田舎に出自家族のいる人たちはテト前後の1週間、移動する。

1日、北部の集団感染で英国型変異種を確認 ホーチミンでも1例

2月1日、中央衛生疫学研究所が実施した遺伝子配列解析の結果によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の市中感染が拡大している北部紅河デルタ地方ハイズオン省と東北部地方クアンニン省2省で新たに確認された多くの新型コロナ患者が、英国で検出された新型コロナウイルスの変異株に感染していたことが分かった。さらに北部の集団感染に関連するホーチミン市の感染者からも変異株が確認された。ホーチミン市熱帯病病院は1日、遺伝子配列解析の結果、国内1660人目の感染者(男性・28)から英国型の変異株が確認されたと発表した。北部の集団感染に関連するホーチミン市の感染者からも変異株が確認されたと発表した。これによれば変異種はそれ以前のウイルスに比べ伝染力が強いとされているが、その種が猛威を振るっているのは北部海岸地方の州に限られている。

2日、4省・市で新たに30人が市中感染

べトナムの市中感染、日本がいかに酷い状況かがわかる

また、保健省の2日午後6時の発表によれば、市中感染による新型コロナウイルス陽性患者30人が新たに見つかった。また、海外から入国した1人も陽性と判明した。これで国内の新型コロナウイルス感染者数は累計1882人となった。28日以降に確認された累計市中感染は10省・市の総計301人。わずか5日間で301人と急増したことになる。日本より2300万人ほど少ないベトナムは5日301人、1日の感染者総数が500人以下になるのはまだまという東京都、この程度ならベトナムモデルと世界に鼻を膨らませるところだが、日本モデルなんて言っていた頃は笑止だが、けして自国を自慢するところがないベトナムである。

テト帰省の鉄道チケットキャンセル相次ぐ

イギリス型ベトナム国内で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の市中感染が拡大で、テト休暇を家族で過ごしたいベトナム人、テト帰省用にと鉄道チケットを購入した多くの人々がそれをキャンセルしようと駅の窓口に殺到している、と地元メディアが報じている。
これは、市中感染が発生した一部の地域で社会的隔離措置が適用され、今後もさらに対象地域が増えると懸念があるためである。

キャンセルの返金も駅によって底をつく

キャンセルを求める客の大半は中部と北部出身で、テト(旧正月)に合わせて帰省するためチケットを購入した人たちで。1日には東南部地方ビンズオン省ジーアン町(thi xa Di An)のジーアン駅に100人もの客が訪れ、返金を求めた。が、キャンセルが相次いだことから駅の窓口で返金用の現金が底を尽き、多くの客に返金対応ができないなどの混乱が広がっている。

3日、4省・市で新たに9人が市中感染 新たにザライ省、ビンズオン省に

保健省の3日午前6時の発表によれば、市中感染による新型コロナウイルス陽性患者9人が新たに見つかった。これにより、ベトナム国内の新型コロナウイルス感染者数は累計1891人となった。28日以降に確認された市中感染は10省・市の計310人。
市中感染による新規感染者9人の内訳は、◇南中部高原地方ザライ省4人、◇北部紅河デルタ地方ハイズオン省2人、◇東南部地方ビンズオン2人、◇ハノイ市1人である。

*地図上のドンズオン省は頭りでビンズオン州が正しい。

北部に集中、無症状感染者も多い

今回のイギリス型の変異種による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者の多くが無症状であることが分かった。現在治療中の患者は、その大半が北部紅河デルタ地方ハイズオン省と東北部地方クアンニン省での集団感染によるものである、という。保健省の発表の内訳では、3省で新たに19人が市中感染 日本からの入国者1人も陽性も確認している。128日以降に確認された市中感染は10省・市の累計329人となっている。
3日の市中感染による新規感染者19人の内訳は、◇北部紅河デルタ地方ハイズオン省14人、◇東北部地方クアンニン省4人、◇南中部高原地方ザライ省1人。いずれもベトナム北部の省である。

4日 ホーチミン:新型コロナ感染者が訪れた バックパッカー街の喫茶店を封鎖

ホーチミン市1区ファングーラオ街区警察は3日午前11時半ごろ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内1883人目の感染者となった男性が訪れていたとして、かつて外国人のバックパッカー街として知られたブイビエン(Bui Vien)通りの211番地にある喫茶店を封鎖した、という。
それは、感染者男性(ハノイ市3公証役場(ハノイ市カウザイ区ジックボンハウ街区ズイタン=Duy Tan通り6番地)の職員)で129日にベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)の便でハノイ市からホーチミン市に移動し、同日午前910時にこの喫茶店を訪れ、ここで店舗スタッフ2人と接触した。男性はその後、チュオンソン(Truong Son)通り5/20番地にある親類宅を訪れ、同日午後9時発のバンブー航空(Bamboo Airways)の便でハノイ市に戻った、という。早速ホーチミン市当局は同感染者の接触者を追跡調査しており、上記2航空会社の便の乗客をはじめ、接触があった可能性のある人々に対し医療施設に連絡するよう呼び掛けている。

4日 新型コロナ、ハイズオン省で37人が市中感染 1週間の市中感染者366人に達する

保健省の4日午前6時の発表によると、北部紅河デルタ地方ハイズオン省で市中感染による新型コロナウイルス陽性患者37人が新たに見つかった。
これにより、ベトナム国内の新型コロナウイルス感染者数は累計1948人となった。128日以降に発表された市中感染は10省・市の計366人。新規感染者37人は、いずれもハイズオン省チーリン市にある工業団地の工場労働者。すでに隔離措置を受けていたためさらなる市中感染の恐れはない。国内1883人目の感染者となったハノイ市3公証役場(ハノイ市カウザイ区ジックボンハウ街区ズイタン=Duy Tan通り6番地)の男性職員が、129日にハノイ市とホーチミン市を往復し、後に新型コロナ陽性と判明した件で、ホーチミン市では接触者31人と、航空機に同乗した乗客29人が特定された。接触者31人のうち5人は陰性の結果が出ており、残る接触者26人と乗客29人は検査の結果を待っている。
また、ホーチミン市で初めて英国型の変異株が確認された1660人目の感染者(男性・28歳、ハイズオン省出身)については、接触者19人全員が陰性だった。

6省・市、新型コロナ流行地域からのテト帰省に隔離措置適用

間もなく迎えるテト(旧正月)に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行地域から帰省する人々に対し、6省・市の当局は隔離措置を適用すると発表した。
隔離措置を適用するのは、◇北部紅河デルタ地方ハイフォン市、◇同ナムディン省、◇北中部地方タインホア省、◇同ゲアン省、◇同ハティン、◇同トゥアティエン=フエ省6省・市となった。

トゥアティエン=フエ省の位置

4日、新規感染者9人を確認

保健省の4日午後6時の発表によると、5省・市で市中感染による新型コロナウイルス陽性患者9人が新たに見つかった。
これにより、ベトナム国内の新型コロナウイルス感染者数は累計1957人となった。128日以降に発表された市中感染は10省・市の計375人。
新規感染者9人の内訳は、◇南中部高原地方ザライ省4人、◇東北部地方クアンニン省2人、◇北部紅河デルタ地方ハイズオン省1人、◇ハノイ市1人、◇東南部地方ビンズオン省1人。

5日、ハノイ:外出とテト帰省の自粛を呼び掛け、テトを控え警戒強化

ハノイ市人民委員会のチュー・ゴック・アイン主席は4日午前、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策に関する指示書に署名した。

同市は市民に対し、不要不急の外出、特にテト(旧正月)期間中の帰省を控えるほか、公共の場に大人数で集まらず、手指の消毒を頻繁に行い、外出時はマスクを着用し、対面時は1m以上の距離を取るなどの感染予防対策を徹底するよう求めている。また、祭りや宗教儀式、スポーツ大会など、大人数が集まるイベントを中止し、忘年会や新年会も行わないこととする。
カラオケ、マッサージ店、バー、ディスコなどの不要不急のサービス業は、引き続き臨時休業措置を適用する。

5日朝、9日ぶり市中感染なし

保健省の5日午前6時の発表によると、直近12時間に市中感染と入国のいずれも新規感染者は確認されていない。128日に56日ぶりとなる市中感染が発表されて以来、9日ぶりの新規感染者なしとなる。

8日、9省・市で47人が市中感染 タンソンニャット空港職員5人陽性 累計2000人超える

保健省の5日午後6時から8日午前6時までの発表によると、市中感染による新型コロナウイルス陽性患者47人が新たに見つかった。また、日本から入国した1人も陽性と判明した。
これにより、ベトナム国内の新型コロナウイルス感染者数は累計2005人となり、ベトナムで感染者が初めて確認された20201月以降、累計2000人を超えた。128日以降に確認された集団感染は計422人となっている。

また市中感染による新規感染者47人の内訳は、◇北部紅河デルタ地方ハイズオン省31人、◇ホーチミン市5人、◇東北部地方クアンニン省3人、◇西北部地方ディエンビエン省3人、◇ハノイ市1人、◇東北部地方ハザン省1人、◇北部紅河デルタ地方バクニン省1人、◇東南部地方ビンズオン省1人、◇南中部高原地方ザライ省1人。
入国者の1人は、ベトナム国籍の男性(29)。日本からホーチミン市タンソンニャット国際空港に到着し、南部メコンデルタ地方ロンアン省で隔離措置を受けていた。5日の検査で陽性となり、現在はロンアン省総合病院で隔離・治療中である。

集中隔離を14日間に短縮の方針 保健省

保健省は5日に開かれた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策に関する会合で、変異種の確認に伴う急速な感染拡大を受けて21日間に延長した集中隔離期間を、従来の14日間に戻す方針を明らかにした。現在は、首相の128日付けの指示により、第3波の震源地となっている北部紅河デルタ地方ハイズオン省と東北部地方クアンニン省に関連する感染者の全ての濃厚接触者(F1)に対し、21日間の集中隔離を適用している。いずれの場合も、地方自治体が責任を持って自宅隔離を監視しなければならない。

9日 ベトナム鉄道、テト休暇中の列車を一部運休 

ベトナム鉄道総公社(Vietnam RailwayVNR)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の市中感染が拡大していることを受け、鉄道チケットを購入した多くの人々がチケットをキャンセルしたため、テト休暇中の列車の一部運休を決定した。この背景には、市中感染が発生した一部の地域で社会的隔離措置が適用され、今後もさらに対象地域が増えると懸念されることがある。目的地に到着した後に当該地域が社会的隔離措置の対象に加われば、立ち往生してしまう恐れがあるためだ。

クアンニン省3人が感染、国内感染者数は累計2053人に

保健省の9日午前6時の発表によると、東北部地方クアンニン省で市中感染による新型コロナウイルス陽性患者3人が新たに見つかった。
これにより、ベトナム国内の新型コロナウイルス感染者数は累計2053人となった。128日以降に確認された集団感染は計470人となっている。

9日、5省・市で13人が市中感染、ホーチミンで    空港関係者2人の感染確認

保健省の9日午後6時の発表によると、5省・市で市中感染による新型コロナウイルス陽性患者13人が新たに見つかった。また、海外から入国した3人も陽性と判明した。
これにより、ベトナム国内の新型コロナウイルス感染者数は累計2069人となった。128日以降に確認された

ベトナムが新型コロナウイルス第4波で大きく揺れている。

128日突如、保健省が国内のクラスター発生を発表するや瞬く間に北部の州で数十人単位で感染者確認が相次いでいる。27日までベトナムは55日間の市中感染ゼロと報道されていた矢先、それも1日で82人も出てしまった!」と驚きが人々に広がったが、予想通り、第3波と比べ地域の拡大も狭い。

ベトナム そのコロナ対策は水際立っている

こうしてベトナムにおける新型コロナ感染の状況と政府、自治体のコロナ対策行政を追ってゆくと、ベトナムはしっかり過去の経験から学んでいることが解る。未だ闇雲に厳しい封鎖処置の繰り返しと国民を敵視して情報封鎖・改竄を続ける中国独裁政権と比べ社会主義標榜を同じくしながらコロナ対策は実に水際立ったものである。何しろ動きが速い、締め付け一辺倒ではない。

*上掲記事:ベトナム在住の知人たちの協力に得て記事として投稿したものです。

*参照:上掲の記事は「新型コロナ第4波 揺れるベトナムⅠ 1月末北部で集団発生 英国型変異種を確認」の続きです。

*掲載画像: ホーチミン市からザライ州の新型コロナ感染者の治療に向かう医師、ザライ州に感染者治療の医師がいない。画像:vietnamnews.vnより

 

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