政権の狭量さ ミス・ユニバース・タイ代表、反政府デモ支持でタイ保健省の大使解任

タイでは依然、新規のコロナ感染者確認が2桁台で続いているが、感染拡大は抑えられつつある。そこで一時期下火となった反政府運動が再び盛り上がろうとしている。

コロナ禍を利用し機会があれば同運動を抑え込もうとするプラユット政権は運動参加者や著名な者な反政府言動や国王の危行批判を不敬罪で逮捕したり、依然として抑圧姿勢を続けている。昨年1年は世界のパンデミックのなかでタイも何度かコロナ禍に見舞われてきたとはいえ、プラユット政権の不人気は相変わらずで、コロナ対策以外に何等目覚ましい成果を上げることがない。経済の低下についても無策をだらだら続け、非常大権を政権延命策に利用しているという評価はタイ国内で強い。

そんななか、タイ政権の不寛容さを示すような事件がこの3日、話題となった。政権の力量が問われる以前に軍事政権の硬直した姿勢そのものを見せていた

伝統衣装のアマンダさん

美しさにイデオロギーはないのに

昨年の2020年ミス・ユニバース・タイ代表のアマンダ・オープダムさんが2日、タイ保健省の精神衛生大使を解任された。アマンダさんはタイ王室改革などを訴える反政府デモを支持するコメントをインターネットの交流サイト(SNS)に投稿し、一部から批判を受けていたというが、たかがSNSの政権批判程度で解任する硬直姿勢を晒すことになった。

そうした硬直した政権だからこそ、2月1日の軍事クーデターで権力を簒奪したミャンマー軍事政権の外交官が先ず挨拶に出向いたのだタイなのだ。タイの軍事政権、ミャンマー共に政権の正統性が問われていて国民の多くから孤立している点で共通している

政権の力量が問われる 姑息な!

解任について、タイ保健省精神衛生局は「アマンダさんの起用が国民を不愉快にさせる恐れがあったため」と説明。アマンダさんは「民主主義に大切なのは平等」などと訴え、今後も活動を継続すると話した。不愉快なのは時の政権であることは明らか、そのための意趣返しが名誉職の解任である。

たかがSNSで信条を述べただけのアマンダさん

タイの軍事政権であるプラユット政権と国王の奇行残忍さで幾度なく国民に銃を向けたミャンマー政権で蜜月づくりは、国民からの遊離と孤立感を浮き上がらせる。ごくごく普通の意見表明さえ目くじらを立てるのは、国連特使から「このままではミャンマーは孤立しますよ。」と警告されても、ミャンマー軍部は「少なくとも友好国と付き合っていく」と答えたとういうが、タイもまた同様の居直りを続けながら、国民からの孤立感に苛立っている。

それがミス・ユニバース・タイ代表 2020の名誉職解任という形でその狭量さを内外に示したことになる。

 

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