政府、「メタ」の第3者機関22人の入国拒否、滞在の場合は国外追放

カンボジア政府は、メタプラットフォーム(facebook運営)監視委員会のメンバー22名の入国を禁止し、7月4日(火)午後4時現在、カンボジアに滞在している場合は48時間以内に即時出国するよう求めている。

4日外務・国際協力省は発表した声明で、「フン・セン首相所有の公式Facebookページを一時的に停止するというメタのプラットフォームに対する監視委員会の勧告は本質的に政治的である」、「カンボジア国民の報道の自由と、国民が支持し尊敬する指導者からの信頼できるニュースを受け取る権利を妨害する意図がある」と声明を述べた。

カンボジア政府は、主権の原則を堅持し、カンボジアの内政への干渉を防ぐという意味で、メタプラットフォームに対する監視委員会の以下のメンバーをペルソナ・ノン・グラータと宣言することを決定した

下記のメンバーがその対象である。

ペルソナ・ノン・グラータ(ラテン語: Persona non grata、英語: person not welcome)とは、外交官のうち、接受国からの要求に基づき、その国に駐在する外交官として入国できない者や、外交使節団から離任する義務を負った者を指す外交用語である。原義は「好ましからざる人物」「厭わしい人物」「受け入れ難い人物」を意味する。外交関係に関するウィーン条約や領事関係に関するウィーン条約で規定されており、稀に「国外退去処分」と表現されることもある。ーWikipediaの記述ー、要は、Meta(Facebook 運営)の第3者機関をカンボジア政府にとって不都合な人物ということにした。

入国拒否、追放者に第3者機関の日本人1名が含まれる

入国拒否及び滞在の場合は国外追放者のメンバー22名は、次の通りです。

吉野賢治、ジュリー・オウォノ、パメラ・サン・マルティン、ロナウド・レモス、マイケル・マコネル、ナイガット・ダッド、キャサリン・チェン、アンドラス・サジョ、エミ・パルモール、ジョン・サンプルズ、ハレド・マンスール、スザンヌ・ノッセル、タワコル・カルマン、カタリナ・ボテロ=マリノ、アフィア・アサンテワ・アサレ・キエイ、ニコラス・スーゾール、パオロ・カロッツァ、エヴリン・アスワド、スディール・クリシュナスワミ、ヘレ・ソーニング・シュミット、アラン・ラスブリジャー、エンディ・バユニ

とカンボジア政府は名指ししている。

上記の人物は王国への入国や滞在を禁止されています。彼らはこの声明の発表時刻から48時間以内、正確には2023年7月4日16時までにカンボジア領土を出国する必要がある」と同省は付け加えている。

この声明は、「ソーシャルメディア会社メタと関係のある理事会が、今年初めに野党勢力に対して『鞭』を使うと脅迫する扇動的な演説を投稿したフン・セン首相のフェイスブックとインスタグラムのアカウントを6か月停止するよう勧告した」ことを受けて発表された。

この決定は、先にカンボジア人とのコミュニケーションには主にテレグラムを使用し、フェイスブックの使用をやめるつもりだと発表した首相によって先取りされた可能性が高い、とKhmer Timesは述べている。

*下の記事をご参照ください。

メタの監視委員会(第3者機関)は6月29日、フン・セン氏がコンポンチャム州で行った1月8日の演説は、政敵に対する暴力をほのめかしており、フェイスブックのコミュニティ基準に違反しているとの判決を下した。

「選択肢は2つあり、1つ目は法的手段を使うこと、2つ目は鞭を使うことだ。これはCPPの支持者を全員集めてデモをしてあなたたちを殴るという意味です。それで、どっちが好きですか?」フン・セン氏は1月にこのように語り、公式facebookに投稿した。

監視委員会は、ソーシャルメディア上でのフン・セン氏の影響力の脅威がより広範囲な拡散を可能にしたとして、ニュース価値を理由にビデオをプラットフォームに残しておくというメタの決定を拒否した。

以上のフン・セン首相とメタの主張を読み比べれば、おのずと6月30日に首相がfacebookからテレグラムやTikTokに公式ページを動かした背景が解ってくる。

また外務省は、偽アカウントの存在、個人データを失うリスク、個人情報の使用と収集、フェイクニュースの拡散、説明責任と透明性の欠如、国内政治への干渉など、Facebookに関連する不正行為を発見した。と声明で述べた。こうした外務省の声明は、諸外国やメタに向けて伝えているのか、定かではない。

6月30日に公開されたテレグラムの首相の音声メッセージで、「カンボジアで最も利用されているソーシャルメディアプラットフォームの1つを禁止するほど愚かではない」、「私は自分のアカウントを削除しただけだ」とフン・セン首相は語っている。

また首相は、「自身の名前を使った偽アカウントの存在など、自身の理由が決断に至ったものであり、アカウントの6か月停止を検討するというメタ監視委員会の意向ではないと再確認した。」とも述べている。

一連の首相による公式広報手段が、facebookからテレグラム、TikTokに移行した理由を図らずも説明しているかに受け取れる。

なお、日経新聞は7月5日付の記事『カンボジア “メタの第三者機関メンバー入国禁止』で、カンボジア政府の措置を「フン・セン首相が40年近く政権を握るカンボジアでは今月、投票が行われる総選挙への有力野党の参加が認められないなど締めつけが強まっていて、政治活動や言論への統制が強化されることへの懸念が広がっています。」と報じている。

掲載写真:khmer Times

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