夕暮れのプノンペンから放射状に延びる郊外の国道は渋滞となり都内に及ぶ、その原因の一つに各工場帰りの労働者を運ぶ小型トラックで混雑するからである。こうした光景を10年以上見ているが、筆者はある歌を思い出す。「ドナドナドーナ」のフォークソングである。これはユダヤ人に収容所送りを歌ったものも言われている。トラックの荷台の鉄棒に掴り立哨する工場労働者の群れ、自ずと彼らが華僑系経営の工場でどんな劣悪な工場で使われているかが、想像できる。事故が起きれば大事故となる。こうした光景が10年以上続いているのだ、経済特区とは聞こえがいいが、途上国の経済特区とは、賃金は向上してもその労働環境は資本主義の原始的蓄積の姿そのものは依然として変わっていない。筆者は事故以上にその背景に関心を持ってしまう。
3月24日、コンポンチナン州で車が走行中のピックアップトラックに衝突し、転倒したため、50人以上の労働者が負傷した。
事故はピックアップトラックの酔っ払い運転が原因
事故は午後7時20分にコンポンチュナン州サマキミーンチェイ地区のTbeng Khpors自治区のRoliang村で発生した。
サマキ・ミーンチェイ地区警察署長のセン・チェンダ大佐は、反対方向に走行していたミニバンの運転手がトラック酔っパラって運転しいた疑いがあるという。他者を多数載せたトラックの運転者として自覚が端からない事故である。
チェンダ大佐は、57人の労働者が負傷し、そのうち8人が重傷を負ったと述べた。重傷を負った労働者はプノンペンの病院に送られ、他の怪我人は州のカンポントララック地区の病院へ送られたという。
ピックアップトラックの運転手は無傷で、車の運転手が運転中に酔って事故を起こしたとして彼に対する訴訟を準備するために警察に拘束されている間、保釈されたという。57人の労働者が負傷しても酔っ払い運転手が保釈とは、これで法治国家?と思わざるを得ない。通勤中の事故だが、運転手にも工場場経営者にも賠償責任が生じるのが常識なのだが...。
掲載写真:事故で横転したピックアップトラック 画像:Khmer Times