人身売買業者は腎臓売買にインドネシア人122人をカンボジアの病院へ

なぜカンボジアなのか。麻薬、オンライン詐欺、そして今度は臓器売買、それにはマネーローダリングが絡むことは間違いない。そして人身売買にも脅迫・監禁・暴行が伴うであろう。いずれもカンボジアに拠点を置く中国人マフィアが絡んでいるというのが大方の見方である。そしてマフィア組織は地元警察を巻き込んでいるというのも周知のことである。

警察官や入国管理局職員も人身売買に関与

インドネシア警察は7月25日(火)、腎臓を売るためにインドネシア人122人をカンボジアの病院に送る人身売買を幇助した疑いで警察官と入国管理官が関与した人身売買密輸組織を捜査している、と発表した。

インドネシア当局が7月19日に警察官と入国管理官を含む12人を逮捕したことからこのカンボジアへの人身売買組織の捜査が始まったという。警察は、臓器の違法取引に関与した密輸組織の取り締まりを継続中であると説明している。

ジャカルタ警察一般犯罪担当・ヘンキ・ハリヤディ局長は、工場労働者、教師などをを含む被害者122人全員がインドネシアに帰国したと述べた。しかし、警察はまだ、捜査に不可欠な証言が必要となる他の数人の被害者を捜索中であるいう。

被害者のほとんどはコロナ禍のパンデミック中に職を失い、経済的絶望に突き動かされて、お金のために臓器を売ることに同意したようだ。同局長は、被害者のうち6人が現在も医師の観察を受けていると付け加えた。

人心売買に関与した容疑者たちはこれらの人々の同胞の苦境を利用し、ソーシャルメディアを通じて彼らを勧誘し、腎臓と引き換えに多額の金銭を約束した。被害者にはそれぞれ1億3500万ルピア(9000ドル)の賠償が約束されていたという。

違法な臓器摘出、プノンペンのプレアケット・メリア病院

今回摘発された容疑者12人のうち9人は元被害者で、彼らはソーシャルメディアを通じてインドネシア全土の人々を勧誘し、カンボジアの病院で腎臓を摘出するよう誘導したとのされている。10人目の逮捕者となった別の容疑者は、腎臓移植手術が行われたカンボジアの首都プノンペンのプレアケット・メリア病院への搬送を手配した疑いで起訴された。この臓器売買組織は2019年以来、約244億ルピア(160万ドル)という驚異的な売上高を上げたとされる。

この違法行為には下級警察官、バリ島の入国審査官、人身売買業者10人が関与しており、そのうち3人はカンボジアで逮捕された。バリ島出身の警察官は職権を乱用し、被害者が海外旅行するための書類を偽造し、カンボジアに密航した1人当たり少なくとも300万ルピア(200ドル)を受け取っている。

容疑者らはインドネシアの人身売買法違反の罪で起訴されており、同法では最高懲役15年と最高6億ルピア(約3万9000ドル)の罰金が科せられる。

あきれたことにブカシ市警察の人身売買に関与した警察官は、人身売買業者による警察の捜査の回避と進行中の取り調べの妨害を幇助したとして、6 億 1,200 万ルピア(4 万ドル)を受け取ったとされている。有罪となれば、2007年の人身売買法に基づき、警官2人は最高5年の懲役刑に処される。

カンボジア当局はプノンペンにあるプレアケットメリア病院での腎臓密売取引を摘発したいう。インドネシア国家警察はカンボジア警察と緊密に連絡を取り、協力している。この共同の取り組みは、違法な臓器売買に関与した人々を解体し、裁判にかけることを目的としているという。

人間の臓器の違法取引とは別に、東南アジアではサイバー犯罪、人身売買、監禁・労働虐待が依然として深刻な問題となっている。つい先月、フィリピン当局は大規模な強制捜査を実施し、詐欺的なオンラインゲームサイトやその他のサイバー犯罪グループで騙されて働かされていたさまざまな国からの2,700人以上の労働者を救出した。

東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳らは5月にインドネシアのラブハンバジョで会合し、国境管理、捜査、法執行、訴追、被害者の本国送還における協力を強化することで合意した。首脳らはまた、啓発キャンペーンや技術進歩など、国家的な予防努力を改善することの重要性を強調した。

インドネシアで報道された警察官や入国管理局職員の人身売買事件の捜査だが、寡聞にしてこの件がカンボジア当局の捜査でも摘発され、違法そのものの腎臓摘出を行った(行おうとした)プノンペンのプレアケット・メリア病院が捜索を受けた、という国内報道を知らない

掲載写真:インドネシア・メディア:APとある。

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