4月13日、中国南部・雲南省昆明とラオスの首都ビエンチャンを結ぶ「中国・ラオス高速鉄道」で両国を直接結ぶ鉄道の旅客運行が始まった。
同鉄道はすでに貨物列車が直通便を運行しており、これで旅客も加わって全面開業となる。人の移動が活発となれば、新型コロナウイルス禍で打撃を受けたラオス経済の復興を後押しするものとなることが両国の高速鉄道推進層は期待している。
既に中国=ラオス鉄道は中国雲南省昆明を起点としてラオスを縦断し、首都ビエンチャンまで約1000キロメートルをつなぐこの鉄道は2021年12月に開業したが、コロナ禍でいまいち大きな話題とならず、またラオス国内の旅客運行も予想以下の低迷であった。新型コロナウイルスの感染対策のためこれまでは国境で別の列車に乗り換える必要があったことも伸び悩みの原因の一つであった。今年になって日本の鉄道ファンの試乗記事がちらほら見られるが、これまたパッとしないものであった。
中国中央テレビによると、鉄道直行便は1日1便(双方向)で昆明—ビエンチャン間1035キロを10時間半で結ぶ。開通に伴い国境の街では建設ラッシュが起きたほか、両国間の物流が大幅に増加し、中国はラオスへの乗り入れ実績を足掛かりに、将来的にはタイ・バンコクやシンガポールまで路線を延ばして東南アジアの大動脈としたい思惑である。これは、中国政府が進める「一帯一路」政策の東南アジア版であるが、当初のイケイケムードの2019年当時の同鉄道建設中だったが、コロナ禍で大きな打撃を受け、さらに香港騒乱、ミャンマー内戦、そしてロシアのウクライナ侵攻と続く世界の激変は中国に対する警戒心の高まりとなり、かつてほど高速鉄道の運行への関心は低下、懸念さえでてくるようになった。
また当のラオスであるが、スリランカが債務の罠で国家経済が破綻し、「猿まで駆り出されて10万匹を中国へ輸出」なんていうニュースが流れ、次に債務の罠に陥るのはラオスと囁かれるになっている。この中国・ラオス高速鉄道、中国にとっては吉であろうが、ラオスにとってどんな将来が待ち構えているか、アジア開発銀行をはじめ、多くの経済通が密かに懸念を持って見守っているようだ。
掲載画像:Webサイトのニュースより