モンドリキリ 野生象の保護を呼びかけ
モンドリキリ州の野生保護区で撮影された野生象の群れ

モンドリキリ、ラタナキリはかつてのホーチミンルート、米国の盲爆地帯

モンドリキリ州は、ラタナキリ州とともにベトナムに接するカンボジア東北部の辺境地帯です。両州共にカンボジアの主要民族:クメール族とは異なる少数民族(高地クメールと呼ばれプノン、ジャライ族など)が多数派を占めています。地形は高地の丘陵地帯で少数民族はかつては狩猟民族で農耕は焼き畑です。そのため畑自体が数年ごとの移動性で集落から作業を用意にするため、出づくり小屋を設けます。両州を旅するにたまに水田をみればクメール族の開拓民です。近年、ようやく開けてきましたが少数民族の純朴さに付け込んで地方役人や札束をもった企業家が入り込み、詐欺同様に少数民族の土地を強奪する事件が続発しています。かつてこの両州は深い森に覆われ、ベトナム戦争時代のホーチミンルートが通り、米国が盲爆した地域です。密漁等よりも自然破壊と野生動物の多くを絶滅危惧種にしたのは米国の盲爆と枯れ葉剤であった。ここに住む少数民族も一方的に殺戮されました。そのためポルポト派はこの地域で力をつけ、平地のクメール族からの差別もあってポルポト派の獰猛な兵士の供給源ともなった地域である。今は両州とも少数民族の生業や野生動物の生息をいかに守ってゆくかが大きな課題となっています。

ケオセイマ野生生物保護区で野生象の群れの撮影

このほど環境省は、モンドルキリ州のケオセイマ野生生物保護区の住民に、野生のゾウの生息を邪魔しないように、また保護に参加するよう呼びかけた。3月31日に保護区で38頭の野生の象の群れが住民によって発見され、写真に撮られた後にこの呼びかけが行われた。自然保護や絶滅危惧種の保護に関心のある者なら、「38頭の野生象の群れ」とは驚きであり、よくぞ生き延びてくれたという朗報である。カンボジアで貴重な野生種の動物が生き残っているところと言えば、カンボジア南西部のカルダモン山系、南部のプノン・ボコール山系とここモンドリキリからラタナキリにかけて森林地帯であるが、いずこも欧米の収集家(近年は中国の富裕層)や象牙細工の注文に応じる密漁が跡を絶たない。

環境省の報道官:Neth Pheaktraは、ケオセイマ野生生物保護区 Keo Seima Wildlife Sanctuaryはアジアの野生象やその他の希少種の大きな聖域であり、近年、狩猟や密猟は減少しているものの、発生率は依然として低いと述べている。

専門家によると、過去60年から70年の間に、世界のアジアゾウの数は約50%減少し、生息地の約90%が失われたと彼は語った。39,463〜47,427頭のアジアゾウが野生に生息しています。約75パーセントがインドとスリランカに住んでいます。そしてそれらは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに絶滅危惧種として記載されています。要はお金持ちの道楽と虚栄心、金で何でもする密猟家たちとそれを繋ぐ密猟ブローカーの暗躍である。カンボジアの古代遺跡の一級宝物の多くは今なお、外国の博物館か個人の邸宅に保管されている。

同氏は「最近、南カルダモン山脈国立公園にカメラを設置した結果、4頭のゾウの赤ちゃんが足に罠を付け、もう1頭が罠で死亡したことがわかりました。密猟者は依然として脅威である」述べ、アジアゾウの繁殖期間が遅い(5年)ため、カンボジアではゾウが絶滅の危機に瀕している可能性がある」と付け加えた。

*掲載写真:モンドリキリ州の野生保護区で撮影された野生象の群れ 画像:環境省

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