ミャンマー ASEAN提案を改めて拒否、自らの孤立化はここに極まれり

ミャンマーは、11月11日(金)にカンボジアのプノンペンで開催された第 40 回および第 41 回 ASEAN サミットおよび関連サミットで 9 つの ASEAN 首脳が行った 5 点提案(5PC) および 9 つの ASEAN 首脳による決定に関して断固として拒否し、改めてASEANの関与をミャンマー自らが断ち切った。

声明の中で、ミャンマー外務省は、「手段や形態を問わず、国内の『違法なテロ組織(実は合法政府の反軍事政権自衛組織)』と関与しようとする ASEAN の試みに強く反対し、非難する」と述べた。これは、ASEAN諸国や議長国カンボジアの外交努力に泥を塗った態度に等しい。

NHK「忘れられゆく戦場」ーミャンマーの内戦ーより 軍事政権は反政府狩りと言って村を焼き討ちする

「前述の違法なテロ組織との関与を求めるこのような呼びかけは、テロ活動を助長し、テロ対策に関するASEAN憲章第2条およびASEANおよび国際条約に違反する可能性がある。」さらに、「5PCの実施に関するレビューと決定は、現場の状況を事実上反映しておらず、5PCの実施においてミャンマー政府が行った建設的な努力は含まれていない。」、「ミャンマーは、5PCの実施において達成された顕著な進展をASEANが無視していることに失望している」と述べ、ミャンマーは5PCの実施においてASEAN議長国の特使と建設的に協力してきたと付け加えた。「ASEANが時間枠を設定することによる追加の圧力は、より否定的な影響を生み出す」とASEANの意向に敵対的な拒絶の意向を声明の形で示した。

ミャンマー外務省は、ミャンマーがASEAN加盟10カ国すべてによる「協議とコンセンサス」による意思決定に関するASEAN憲章第20条を引き続き遵守し、国が関与しないいかなる議論や決定にも反対することを再確認した、と述べている。ASEANとしては、もはや何おか言わんである。これでタイもカンボジアもその立場(隣国、議長国)を利用して動くことはできなくなった。

ミャンマーの声明は狂気の業火の破滅の叫びの悲鳴に似ている。

*ミャンマー軍事政権ははASEAN諸国の関与をきっぱりと拒否し、世界の孤児となっても軍部利権を死守する姿勢に変わりがないという姿勢を改めてしめした。痩せガエルの我慢に似た姿である。事実、ウクライナで苦境に陥ったロシアに媚びたり、中国を利用するやインドが待ったをかけたり、国内では残忍な民主派殲滅の内戦を繰り広げているが、ますます民主派や連携する少数民族の抵抗に手を焼いている。ロシアのウクライナ侵攻を好機に一気に民主派を国内的に窒息させようと図ったが、かえって抵抗を強め、いつ内部崩壊するか累卵の危うきがミャンマー軍事政権の実態である。そのため、ASEANや欧米・日本が何を言おうとロシアのウクライナ侵攻中にどうにかするという軍事政権の方針に変わりはない。逆を言えば、ロシアの敗北、政変が起きれば、中国は委縮し、ミャンマー軍事政権は最後の断末魔を迎える。そうした結末になるのを怖れているのが、タイのプラユット政権(軍事政権)である。タイとミャンマーの軍部は非合法に深く結びついていることは周知の事実である。カンボジアが今年1月に見せたミャンマーの軍事政権への融和姿勢はけして中国への忖度ではなく、カンボジア政権そのもののためであることも周知のことである。

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