
中国・深圳(シンセン)の裁判所は2月2日、ミャンマーに巨額詐欺や賭博の拠点を作り、中国人6人を死亡させたなどとして有罪判決を受けた4人について、死刑を執行したと発表した。
4人はバイ一族の一員という。バイ一族をめぐっては、詐欺や殺人、傷害などの犯罪行為に関与したとして、親族21人が有罪判決を受けていた。
中国:国営メディアによると、裁判所は昨年11月、一族の長バイ・スオチェン氏ら5人に死刑判決を下した。
なお、族の長バイ・スオチェンは処刑前に獄中で死亡した。
中国は先週にも、同様にミャンマーで組織犯罪に関わり、昨年9月に死刑を宣告されていたミン一族の11人を処刑した。これは、東南アジアで数千人の中国人被害者を生んだ詐欺行為の取り締まりの一環である。
バイ、ミンなど犯罪組織の「四大家族」と呼ばれる四つの家族は長年にわたり、ミャンマーの国境の町ラウカイを支配し、カジノや売春街の運営や、サイバー詐欺活動を行ってきた。
こうした一族の中でもバイ一族が「ナンバーワン」だと、スオチェン氏は拘束後に国営メディアに語っていた。
当局によると、バイ一族は独自の民兵組織を指揮し、サイバー詐欺活動やカジノを収容する41の施設を設立。内部では、殴打や拷問といった暴力行為が常態化していたとされる。
バイ一族による犯罪活動が、中国市民6人の死と1人の自殺、複数の死傷者をもたらしたと、裁判所は指摘した。
ラウカイおよび周辺地域を1980年代から掌握していた民族反体制組織「ミャンマー民族民主同盟軍」(MNDAA)を、ミャンマー軍のミンアウンフライン総司令官が掃討作戦で追い出した後、バイ家など四つの一族がラウカイで権力を握った。
ミャンマー軍事政権と利権で協力した武装犯罪組織バイ一族
ミンアウンフラインは2021年に軍事クーデターを率い、現在は同国の軍事政権のトップである。
ミャンマー軍のミンアウンフラインにとって、当時軍閥の副官だったバイ族のスオチェン氏は軍事的にも犯罪による資金源でも適任の存在だった。
しかし2023年、ミャンマー軍が詐欺活動に対応しなかったことにいら立った中国政府が、ラウカイ地域で活動する反軍事政権の民族反乱勢力の攻勢を黙認すると、「バイ帝国」は崩壊した。
これが、ミャンマー内戦の転換点となったという。
その後、民族反乱勢力と中国政府の協力で詐欺組織は摘発され、そのメンバーは中国側へ引き渡された。
なお国連の推計では、数十万人が人身売買され、ミャンマーや東南アジア各地で数十万人がオンライン詐欺に従事させられているとされる。その中には数千人の中国人が含まれる。総額数十万ドル規模をだまし取られた被害者も主に中国人だという。
掲載写真:中国・国営テレビのバイ一族の裁判 BBC掲載
