首相 フン・マネットが将来の首相かどうか、国民の投票次第

カンボジアのフンセン首相は「息子の将来の首相は国民の投票にかかっている」と述べた。

首相は、27日(金)の朝に日本経済新聞が主催した第27回「アジアの未来」国際会議で、ビデオ会議を通じて次のように述べた。

次の選挙で、人々がカンボジア人民党(CPP)に投票する場合、それは人々がフン・マネットを後継者としてフン・センが率いる国をリードするためにCPPを望んでいることを意味する。

今回の選挙が以前と比べ、盛り上がっていないことは、カンボジアに住む誰もが肌で感じることである。それは結果が初めから解っているからに過ぎないからである。要はカンボジア国民は醒めている。

選挙があるから民主主義というのがカンボジア式政治であり、前回の下院総選挙では、前々回で政権交代まで迫った救国党を解党させた上での選挙で、結果は政権党が全議席独占である。

第27回「アジアの未来」国際会議の主催者である日経新聞は27日付けで次のような記事を掲載した。この記事、米中の狭間に立たされたカンボジアという構図だが、「統治手法、各国の状況に応じて選択を」という首相のスピーチを引用したが、前回の総選挙の実態への自己弁護とも、読みようによっては受け取れる。また、ASEANの議長国になるやフンセン首相のミャンマー軍事政権の接近(後にASEANの主要国から批判を受け、カンボジア政府は軌道修正)は、政治体質が似ているからというのが、ミャンマー国民の抗議や国外での主流論調である。日本の財界からの要望を受けての日経新聞主導の第27回「アジアの未来」国際会議だが、「統治手法、各国の状況に応じて選択を」というのはカンボジアの政治状況批判や世襲批判に首相自身が神経質になっていると同時に形式的な実績づくりに腐心していることが解る。

カンボジア首相「統治手法、各国の状況に応じて選択を」(日経)

カンボジアのフン・セン首相は27日午後、第27回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)でオンライン講演した。「アジア諸国はすべての国が互いの主権と独立を尊重すべきだ」と述べ、アジア各国を自陣営に取り込もうとする米国と中国の間の対立に巻き込まれ、各国が踏み絵を迫られる状況に懸念を示した。

一方、日本の報道各社は当然、上記の会議の主催者である日経新聞とスタンスが異なる。カンボジアがニュースの話題になることは、稀である。

下に掲載の記事は、共同通信の配信記事、NHKの報道である。

フンセン首相「自動的権力委譲でない」と強調(東京新聞ー共同)

カンボジアのフン・セン首相は27日、オンラインで講演し、与党カンボジア人民党が首相の長男フン・マネット陸軍司令官を後継者として選んだことについて、6月の地方評議会(議会)選で人民党が票を集めれば国民が認めたことになるとの考えを示した。「自動的に権力は委譲されない」と強調した、と地元メディアが伝えた。

*世襲(北朝鮮の金王朝)批判を意識した発言。

カンボジア 地方選挙始まる 長期政権下 野党の議席数が焦点(NHK)

カンボジアの地方自治体の評議会の議員を選ぶ選挙戦が始まり、30年以上にわたって実権を握るフン・セン首相が野党勢力への締めつけを続ける中、野党がどこまで議席を確保できるのか、注目されます。

*これは、この地方選挙で民意は反映されるか?ということを意味していると、捉えるべきであろう。

掲載写真:フンセン首相と息子フンマネ氏 画像:Khmer Times

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