バンコク近郊の大規模クラスター感染クラスター、23都・県に拡大 累計感染者1300人超 

タイのバンコク近郊の水産市場の大規模クラスター発生は、タイ国民の懸念するように、増加と拡大傾向にある。

タイ保健省は23日、バンコク都近郊サムットサコン県の水産市場近くで働くミャンマー人労働者の感染源とみられる新型コロナウイルスの感染者がサムットサコン県以外にバンコクなど22都県に拡大した、と発表した。17日から23日までに確認された感染者はサムットサコン県累計1278人、バンコク都16人、その他22州で感染者が拡大する事態となり、累計1343人となった。

AFP=時事通信の不完全な記事はなぜ 背景に政府の無策がある

同大規模クラスターは、日本ではAFP=時事通信が記事を上げているが、タイの軍事政権プラユット首相兼国防相は、密入国のミャンマー人たちが感染源となる同クラスターであると非難しているが、それ以前にそうした不法入国したミャンマー人を雇っている工場主に責任がある、と述べている。が、AFP=時事の記事に見ていると、同首相がことさら「不法入国のミャンマー人」に非難していることを強調している。それは、1つに11月から国内感染がちらほら見つかり、感染者が検疫逃れのミャンマー人であったりミャンマーからの帰国者であったりという背景があるが、ミャンマーとの国境線が長いからといってタイ政府の不作為の責任が免れるものではない。どうも政府の不作為の責任を逃れ、非常事態を伝家の宝刀に国内の反政府運動を抑え込もうとしている意図がある。5月以降、長く国内感染が抑えられていたタイだが、9月に入り日本の検疫でタイ人入国者の感染が確認され、そうしたニュースがSNSでタイの若年層に流れ、「政府は感染を隠しているのではないか」という不信感が拡がっていた。政府はこれを機会に国民の不満を外に向けようとしても、それで高学歴の若者の参加が多い反政府運動が収まるとは思えない。この大規模クラスター感染、ただでさえ不人気なプラユット政権にその無策ぶりにブーメランとなる可能性も強い。
プラユット首相兼国防相は23日、軍に対し、サムットサコンに1000床の野戦病院を設営するよう指示した。また、密入国者を防ぐため、タイ・ミャンマー国境の警備強化を命じた、という。

バンコク都庁、サムットサコン県内は来年1月3日まで休校措置

また、感染が確認されたバンコク都やその他の県は様々な対策をとっている。サムットサコン県は19日から市場、娯楽施設などを閉鎖、夜間の外出を事実上禁止するなど、都市封鎖(ロックダウン)に踏み切っており、バンコク都庁は23日、都が管轄する学校437校を12月24日から1月3日まで休校すると発表した。発生地のサムットサコン県はもちろん他県も感染状況に応じて学校休校に踏み切るところもある。

*掲載画像:イメージ 画像:バンコク都庁より

おすすめの記事