大規模クラスター感染、1日で120人急増
タイ政府は20日午後、首都バンコクに隣接するサムットサコーン県の水産市場で、ミャンマー人労働者を中心に新型コロナウイルスのクラスター(感染集団)が発生で、新規感染者数は過去最多の576人に達した。19日の保健省の発表ではクラスター感染者数548人だが、一気に28人増えた。検査の拡大でさらに感染者数が増える恐れがある。
タイ保健省は20日夜、新型コロナウイルスの感染者が17日以降にバンコク西郊のサムットサコン県で689人、同県の北隣のナコンパトム県で2人、バンコクで2人、バンコク南郊のサムットプラカン県で3人確認されたと発表した。これで累計2日696人となった。1日で新規感染確認が120人急増した。
バンコク都に感染が拡がる恐れ
クラスター発生場所がバンコク都の市街地が県境を超えて拡がるサムットサコーン県の水産市場(マハーチャイ市場)で、初めの感染者の確認がバンコクから来た買い物客(女性)ということもあり、バンコク都への感染拡大への恐れが強まっており、タイ政府当局は企業に自宅待機などを呼びかけている。バンコク都民にも動揺が拡がっている。
発生地:サムットサコンのマハーチャい水産市場で確認された感染者の約9割は県内の市場などで働くミャンマー人労働者で、ほとんどは無症状だった。保健省はこうしたミャンマー人労働者から感染が広がった可能性があるとみている。サムットサコンはタイの水産業の中心地で、漁船、魚市場、水産物加工工場などで多数のミャンマー人が就労している。
バンコクの感染者2人のうちの1人は鮮魚商のタイ人女性(33)で、今月12日にサムットサコンの市場で海産物を仕入れ、同日午後、バンコク郊外の市場で販売した。もう1人の感染者であるタイ人女性(67)はこの鮮魚商からエビを購入していた。
隣国ミャンマーからの出稼ぎ労働者が発生源と見られる
一方、ミャンマー当局によると、同国で確認された新型コロナウイルス感染者は20日集計で累計11万6134人で、2443人が死亡した。9月からのコロナ禍の第2波が収まっていない。
国内に100万人以上といわれるミャンマー人労働者を抱えるタイはミャンマーからの新型コロナ流入を警戒していたが、両国の国境線は長く密入国が比較的容易で流入阻止は困難とみられていた。タイは乾期が本格化し、気温が下がり空気が乾燥してきている。いったん国内感染が広がると、封じ込めが困難になる可能性もある。