毒ヘビ(写真:コブラ)に噛まれた後、病院に行く代わりに「伝統的な治療師」に助けを求めた女性が亡くなった。
情報筋によると、4月27日(水)、ラタナキリ州オチュム地区ポイ自治区レブサダン(33歳)の女性が、カシューナッツを摘んでいるときに、右ふくらはぎの上部をヘビに噛まれたという。女性は家族から病院に行くように促されたが、代わりに同オチョム地区タベン区の「伝統的な治療師」の元に向かったという。だが伝統的な治療は効果がなく、噛まれて2日後、同女性は29日に咬傷からの毒が体内に回り亡くなった。
*ラタナキリ州:カンボジアでは少数派の高地クメール族とも呼ばれる先住民:モンクメール族が住民の7割を占めている。長く狩猟採集生活であった。
コブラの毒は強力であるが、すぐに適切な対処と治療が行われれば助かるのが、ライタナキリという辺境の州であることが禍した事故である。
非科学的な伝統療法としか思えないものが広く信じられている
カンボジアの農村部では上述の「伝統的な治療師」がある種の尊崇を受けており、様々な伝統療法を行っている。
今の日本にも場所よっては残る精神疾患療法の「狐憑き落とし」の類などと同様のものがカンボジアの農村部に見られる。また死産の幼児の焼却灰を飲ませるなどの行為や伝統の薬草などというものがあり、高地の行楽地で販売され、求めるクメール人も多い(例:キリロム高原、クメール山)。
なかでもプノンペンで日常よく見かけるコインのようなもので背中全体の肌を強く何度もひっかく気付け治療と称するものもそれである。これを小学低学年生レベルにも行うのを見て驚くことがある。一般的にただ肌を痛め、その刺激で気付けとしているとしか思えない非科学的療法を農村出自の女性たちは強く支持しているから驚くことがある。
掲載写真:毒蛇と咬まれた女性 画像:Khmer Timesより